宅建業免許に必要な「専任の宅地建物取引士」とは?
常勤性・専任性・人数の要件を解説
宅地建物取引業の免許を取得して営業するためには、 事務所ごとに法令上必要な人数の 「専任の宅地建物取引士」 を置く必要があります。
しかし、 宅地建物取引士の資格を持っていれば、 誰でもそのまま「専任宅建士」になれるわけではありません。
専任宅建士には、 人数の要件だけでなく、 常勤性・専任性・勤務実態 も求められます。
② その事務所に常勤しているか
③ 専らその事務所の宅建業務に従事しているか
この3つを一体として確認することが重要です。
そもそも「専任の宅地建物取引士」とは?
宅地建物取引士は、 宅地・建物の売買や賃貸借の取引において、 重要事項説明などを担う国家資格者です。
その中でも、 宅建業者の事務所に 常勤し、専ら宅建業務に従事する立場 の宅建士が、 一般に「専任の宅地建物取引士」と呼ばれます。
宅建士資格を持っていても、 勤務形態や兼業状況によっては 専任宅建士として認められないことがあります。
専任宅建士は事務所ごとに必要
専任宅建士は、 会社全体で1人置けばよいというものではありません。
宅建業を行う 各事務所ごと に必要人数を配置します。
支店に宅建業従事者 3人
であれば、
本店に必要な専任宅建士
+ 支店に必要な専任宅建士
をそれぞれ確保する必要があります。
専任宅建士の人数は「5人に1人以上」が基本
宅建業法では、 事務所等について、 業務に従事する者の人数に応じて 一定数の成年者である専任宅建士を置く必要があります。
の割合で、 成年者である専任の宅地建物取引士を置くことが基本です。
人数の考え方
| 宅建業に従事する者の人数 | 必要となる専任宅建士の目安 |
|---|---|
| 1人~5人 | 1人以上 |
| 6人~10人 | 2人以上 |
| 11人~15人 | 3人以上 |
| 16人~20人 | 4人以上 |
「宅建業に従事する者」には誰が入る?
専任宅建士の必要人数を考える際には、 単に正社員数だけを見るのではなく、 実際に宅建業務に従事する者 を確認する必要があります。
- 営業担当者
- 契約担当者
- 宅建業務を行う役員
- 宅建業務に関わる従業者
専任宅建士の「常勤性」とは?
専任宅建士には、 原則として その事務所に常勤していること が求められます。
つまり、 名義だけを置いている状態では足りず、 実際にその事務所で勤務している必要があります。
- 勤務場所
- 勤務時間
- 雇用関係
- 給与支払状況
- 社会保険等の加入状況
- 他社での勤務状況
他社に勤めながら専任宅建士になれる?
他の会社に常勤している場合には、 原則として 宅建業事務所における 常勤性・専任性 が問題になります。
専任宅建士として認められるかどうかは、 形式だけでなく 実際の勤務状況によって判断されます。
専任宅建士の「専任性」とは?
「専任」とは、 その事務所に継続して勤務し、 原則として専ら宅建業務に従事できる状態にあることを意味します。
副業をしている場合はどうなる?
専任宅建士が副業をしている場合、 直ちにすべて認められないという単純な問題ではありませんが、 副業の内容・時間・場所によっては 常勤性や専任性に疑義が生じます。
- 他の仕事の勤務時間
- 他の仕事の勤務場所
- 宅建業事務所での勤務実態
- 宅建業務へ常時対応できるか
- 他社との雇用契約があるか
具体的な兼業の可否は、 申請先行政庁の運用も確認する必要があります。
代表取締役が専任宅建士を兼ねることはできる?
会社の代表取締役本人が宅建士であり、 実際に宅建業事務所へ常勤している場合には、 代表者が専任宅建士を兼ねる ケースがあります。
+ 宅地建物取引士
+ 専任宅建士
を同一人が兼ねることがあります。
ただし、 代表者が他社でも常勤している場合や、 複数の事務所を行き来している場合などは 常勤性・専任性を確認する必要があります。
代表者が別会社も経営している場合は?
複数会社の代表者を兼任していること自体だけで 直ちに専任宅建士になれないとは限りません。
ただし、 他法人での職務内容や勤務実態によっては、 専任性・常勤性が問題になります。
実際にどこで、どの程度勤務しているのかが重要です。
行政書士など他の資格業を兼業している場合は?
宅建士が他の資格業や別の事業を行っている場合も、 具体的な勤務実態を確認します。
例えば、 同一場所で複数事業を行っている場合でも、 宅建業事務所における専任性が 実際に確保されているかが重要です。
複数の宅建業事務所の専任を兼ねられる?
専任宅建士は、 原則として特定の事務所に常勤・専任することが前提です。
複数事務所を設置する場合には、 各事務所ごとに必要な専任宅建士を 確保する必要があります。
宅建士証の有効期限にも注意
宅地建物取引士として業務を行うためには、 有効な 宅地建物取引士証 が必要です。
宅建業者側の免許が有効でも、 専任宅建士本人の宅建士証が期限切れになっていないか 確認しておく必要があります。
専任宅建士が退職したらどうする?
専任宅建士が退職した場合、 宅建業者は必要人数を欠く可能性があります。
↓
後任宅建士を確保
↓
常勤性・専任性を確認
↓
必要な変更届を準備
↓
行政庁へ届出
専任宅建士が不足した場合
専任宅建士が退職するなどして、 法律上必要な人数を満たさなくなった場合には、 速やかな対応が必要です。
宅建業法には、 専任宅建士の設置要件を欠いた場合について 一定の是正期間に関する規定がありますが、 「しばらく不足していても問題ない」 と考えるべきではありません。
従業員が増えた場合も要注意
専任宅建士本人に変更がなくても、 宅建業に従事する者が増えたことで 必要人数が増える場合があります。
専任宅建士 1人
から、
宅建業従事者 6人
になれば、 人数基準を改めて確認する必要があります。
支店を新設する場合
新たに宅建業を行う支店等を設置する場合には、 その事務所にも 必要な専任宅建士を置く必要があります。
- 事務所要件
- 専任宅建士の配置
- 従業者数
- 政令で定める使用人
- 保証協会・営業保証金関係
- 免許区分への影響
他県へ支店を出す場合は免許換えにも注意
知事免許の宅建業者が 他の都道府県にも事務所を設置する場合には、 専任宅建士の追加配置だけでなく、 国土交通大臣免許への免許換え が必要となる場合があります。
事務所
専任宅建士
免許区分
保証協会等
をまとめて確認する必要があります。
常勤性・専任性の確認資料
専任宅建士の常勤性・専任性について、 申請先行政庁から 確認資料を求められる場合があります。
- 健康保険関係資料
- 雇用保険関係資料
- 給与関係資料
- 雇用契約書
- 出勤状況が分かる資料
- 住民票等
- 他社勤務の有無を確認できる資料
必ず申請時点の最新の手引き・案内を確認してください。
名義貸しは認められません
専任宅建士について特に注意したいのが、 いわゆる 「名義貸し」 です。
宅建業免許では、 実際の勤務実態が重要です。
専任宅建士と一般の宅建士の違い
| 区分 | 主な考え方 |
|---|---|
| 宅地建物取引士 | 宅建士資格を持ち、有効な宅建士証を有して宅建士業務を行う者 |
| 専任宅建士 | 宅建士のうち、その宅建業事務所に常勤し、専任性を満たして配置される者 |
新規免許申請前に確認すること
誰が実際に宅建業務を行うのか整理します。
原則5人に1人以上の基準を確認します。
資格登録と宅建士証の有効性を確認します。
その事務所に継続して勤務できるか確認します。
他社勤務・他事務所との兼務等を確認します。
勤務実態等を確認できる資料を整理します。
事務所・専任宅建士等の要件を揃えて申請します。
専任宅建士チェックリスト
- 有効な宅建士証を持っている
- 必要人数を満たしている
- その事務所に常勤している
- 専任性に問題がない
- 他社に常勤していない
- 他の宅建業者の専任宅建士になっていない
- 他の事務所との兼務に問題がない
- 勤務実態を説明できる
- 退職・異動予定を把握している
- 従業者数増加による人数不足がない
- 宅建士証の有効期限を管理している
行政書士に相談するメリット
専任宅建士については、 資格証の有無だけでなく、 人数・勤務実態・兼業状況・事務所との関係 まで確認することが重要です。
- 専任宅建士の必要人数確認
- 常勤性・専任性の事前確認
- 新規宅建業免許申請
- 専任宅建士変更届
- 事務所新設時の要件確認
- 支店開設時の必要人数確認
- 宅建業免許更新時の専任宅建士確認
- 必要添付資料の整理・作成支援
他社との兼務、副業、複数法人の役員兼任などがある場合は、 事前に個別確認することをおすすめします。
まとめ
① 宅建業の事務所には、法令上必要な人数の専任宅建士を置く必要があります。
② 人数基準は、事務所において宅建業に従事する者5人につき1人以上が基本です。
③ 宅建士資格を持っているだけでは、専任宅建士になれるとは限りません。
④ その事務所に常勤していることが重要です。
⑤ 他社勤務や他事務所との兼務がある場合には、専任性を確認する必要があります。
⑥ 代表者が専任宅建士を兼ねるケースもありますが、勤務実態が重要です。
⑦ 専任宅建士が退職・異動する場合には、早めに後任を確保することが重要です。
⑧ 従業者が増えた場合にも、必要人数を再確認しましょう。
↓
宅建士証の有効性
↓
必要人数
↓
常勤性
↓
専任性
↓
勤務実態
↓
変更時の届出
この一連の確認を行うことで、 宅建業免許申請・更新・変更届を スムーズに進めやすくなります。
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