定期建物賃貸借の「再契約」とは?
再契約料・手続き・契約終了時の注意点を解説
定期建物賃貸借契約は、 契約期間が満了すると、 原則としてその契約は終了します。
普通借家契約のように、 当然に「更新」されるわけではありません。
貸主と借主が、 契約終了後も引き続き物件を使用することで合意した場合には、 一般に 新たな定期建物賃貸借契約を締結する「再契約」 という形をとります。
再契約では、 賃料・保証金・再契約料・契約期間・原状回復などを 改めて確認しておくことが重要です。
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旧契約は終了
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貸主・借主が引き続き契約するか協議
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合意した場合は新しい契約条件を決定
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新たな定期建物賃貸借契約を締結
「更新」と「再契約」は違う
定期建物賃貸借で特に大切なのは、 「更新」と「再契約」を区別すること です。
| 項目 | 普通借家契約 | 定期建物賃貸借契約 |
|---|---|---|
| 契約期間満了時 | 更新される場合がある | 原則として契約終了 |
| 継続する場合 | 更新 | 新たな再契約 |
| 契約条件 | 従前条件が継続する場合が多い | 改めて条件を合意する |
| 契約期間 | 更新後の期間を設定 | 新たな契約期間を設定 |
再契約は必ずできる?
再契約は、 借主が希望すれば当然にできるものではありません。
貸主・借主双方が 新たに契約することについて合意 して初めて成立します。
最終的には、 具体的な契約条項と当事者間の合意内容を確認する必要があります。
再契約で見直せる内容
再契約では、 旧契約と全く同じ条件にする必要はありません。
- 賃料
- 共益費・管理費
- 契約期間
- 保証金・敷金
- 保証金の償却
- 再契約料
- 中途解約条項
- 違約金
- 原状回復
- 修繕負担
- 使用目的
- 禁止事項
- 連帯保証人・保証会社
「再契約料」とは?
事業用の定期建物賃貸借契約では、 再契約を行う際に 「再契約料」 を定める場合があります。
例えば、 新しい契約を締結する際に 「新賃料の1か月分」 などと定めるケースがあります。
再契約料は更新料と同じ?
実務上、 金銭の性質が似て見える場合がありますが、 定期建物賃貸借では 旧契約の「更新」ではなく、 新しい契約を締結する という点が重要です。
定期建物賃貸借では、 「再契約」「再契約料」など 契約の性質に合った表現を用いることが大切です。
再契約料はいつ支払う?
再契約料を設ける場合には、 支払時期も明確にしておく必要があります。
- 再契約締結時
- 新契約開始日の前日まで
- 新契約開始月の賃料と同時
再契約前に賃料を見直す
再契約は、 賃料条件を見直す機会にもなります。
契約締結後に、 周辺相場、 固定資産税等の負担、 物価、 建物維持費などが変化している場合には、 新しい契約条件を検討します。
保証金・敷金はどうする?
再契約時には、 旧契約で預かっている敷金・保証金を どのように扱うか明確にします。
① 新契約へ承継する
旧契約の保証金を返還せず、 新しい契約の保証金として引き継ぐ方法です。
② 一度精算する
旧契約終了時に精算し、 新契約時に改めて保証金を預ける方法です。
保証金を引き継ぐ場合は書面で明確に
保証金を再契約へ引き継ぐ場合には、 単に口頭で処理せず、 契約書等に明記しておくことが重要です。
「旧契約に基づき甲が預託を受けている保証金○○円については、 本契約に基づく保証金として引き続き甲が預託を受けるものとする」
など、 旧契約から新契約への承継関係が分かるようにします。
保証金の償却はいつする?
保証金に償却条項がある場合、 再契約時に特に注意が必要です。
ここが曖昧だと、 再契約のたびに償却するのか、 最後に一度だけ償却するのかについて トラブルになる可能性があります。
再契約でも定期建物賃貸借の要件を確認
再契約は、 旧契約の単なる延長ではありません。
再度、 定期建物賃貸借契約を締結するのであれば、 定期建物賃貸借として必要な法定手続を 改めて確認することが重要です。
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期間満了で終了
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新しい定期建物賃貸借契約を締結
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新契約について必要な手続を改めて行う
事前説明を改めて行う
定期建物賃貸借契約では、 契約締結前に、 「契約の更新がなく、期間満了により終了する」 ことを、 法令に沿った方法で説明することが重要です。
再契約の場合であっても、 新たな定期建物賃貸借契約を締結する以上、 必要な事前説明を改めて行うことを前提に 手続きを整理することが安全です。
契約期間1年以上の場合は終了通知にも注意
定期建物賃貸借契約では、 契約期間が1年以上の場合、 期間満了による終了について 貸主から借主への通知が問題となります。
一般に、 期間満了の1年前から6か月前までの間 に、 契約が終了する旨を通知することが重要です。
1年以上の定期建物賃貸借では、 満了日と通知時期を早めに管理しておくことが重要です。
再契約する予定でも終了通知は管理する
貸主・借主双方が 「おそらく再契約するだろう」 と考えている場合でも、 正式な再契約が成立するまでは 旧契約が期間満了で終了することを前提に管理する方が安全です。
再契約の協議はいつ始める?
店舗・事務所などの事業用物件では、 借主も事業計画を立てる必要があります。
そのため、 満了直前になって初めて再契約条件を提示するのではなく、 余裕を持って協議を開始することが重要です。
- 再契約する意思があるか
- 新しい契約期間
- 新賃料
- 共益費
- 再契約料
- 保証金
- 償却
- 原状回復
- 連帯保証人・保証会社
- その他の契約条件
再契約しない場合はどうなる?
再契約について合意できなければ、 定期建物賃貸借契約は 期間満了により終了するのが基本です。
借主は、 契約終了日までに 物件を明け渡す必要があります。
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明渡し
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原状回復
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未払賃料等の精算
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保証金・敷金の精算
原状回復は再契約時にどうする?
旧契約が終了して、 間を空けずに同じ借主と再契約する場合、 実際には一度物件を空にして原状回復することは 現実的でない場合があります。
そのため、 再契約時には 旧契約の原状回復義務をどのように扱うか を明確にしておくことが重要です。
旧契約終了時には原状回復を行わず、 新契約終了時に旧契約以前からの借主設置物も含めて 原状回復する
といった整理が考えられます。
設備・造作の引継ぎも明確に
事業用テナントでは、 借主が設置した設備や造作が多数あることがあります。
- 空調設備
- 配管
- 間仕切り
- 厨房設備
- 看板
- 内装
- 什器
中途解約条項も再確認
再契約時には、 旧契約の中途解約条項をそのまま使うかどうかも確認します。
事業用契約では、 「6か月前予告」 や 「予告期間分の賃料相当額を支払うことで即時解約」 などの条項を設けることがあります。
連帯保証人・保証会社も見直す
再契約時には、 連帯保証人や保証会社との関係も確認します。
- 従前の保証人を新契約でも継続するか
- 保証人の住所・連絡先に変更がないか
- 保証会社の再審査が必要か
- 保証契約の更新・再契約が必要か
- 保証範囲が新契約をカバーしているか
法人テナントでは会社情報も確認
数年前に契約した法人の場合、 再契約までの間に会社情報が変わっていることがあります。
- 商号
- 本店所在地
- 代表者
- 役員
- 会社の存続状況
- 連絡先
再契約書は「旧契約と同じ」でよい?
再契約は、 契約内容を見直す良い機会です。
・原状回復
・保証金償却
・修繕負担
・中途解約
・違約金
・再契約料
・設備撤去
・保証人
について、 実際の運用と契約書が一致しているか確認します。
再契約の一般的な流れ
契約期間と終了通知の時期を確認します。
貸主・借主双方が再契約を希望するか確認します。
賃料・期間・再契約料・保証金等を決めます。
原状回復・保証金・設備等の引継ぎを整理します。
再契約用の定期建物賃貸借契約書を作成します。
必要な説明書面等を整えます。
契約内容を確認し、正式に契約します。
再契約料、保証金、賃料等を処理します。
再契約しない場合の確認事項
- 契約終了日
- 退去・明渡し日
- 原状回復範囲
- 工事期間
- 鍵の返還
- 未払賃料等
- 電気・水道等の精算
- 看板等の撤去
- 残置物処分
- 保証金・敷金返還
再契約時によくあるトラブル
① 再契約料の根拠が曖昧
金額・支払時期が不明確でトラブルになります。
② 保証金の扱いが不明
旧契約から承継するのか、一度精算するのかが曖昧になります。
③ 償却を二重に処理
再契約ごとに償却するのか、最終終了時だけなのかを明確にします。
④ 原状回復義務が不明確
旧契約分を新契約終了時まで繰り越す場合は明記します。
⑤ 終了通知の管理漏れ
再契約予定でも、旧契約の終了手続きを適切に管理します。
⑥ 旧契約書をそのまま使用
実際の運用や現在の条件に合わない条項が残ることがあります。
再契約前チェックリスト
- 旧契約の満了日を確認した
- 終了通知の要否・時期を確認した
- 双方の再契約意思を確認した
- 新しい契約期間を決めた
- 新賃料を決めた
- 再契約料を明確にした
- 保証金を承継するか決めた
- 保証金の償却時期を確認した
- 原状回復義務の引継ぎを確認した
- 設備・造作の扱いを確認した
- 中途解約条項を見直した
- 保証人・保証会社を確認した
- 新しい定期建物賃貸借契約書を準備した
- 必要な事前説明の手続きを準備した
行政書士に相談できること
定期建物賃貸借の再契約では、 単に契約期間を書き換えるのではなく、 旧契約の終了と新契約の開始を正しく整理すること が重要です。
- 再契約用の定期建物賃貸借契約書作成
- 再契約料条項の整理
- 保証金・償却条項の整理
- 原状回復条項の見直し
- 中途解約条項の見直し
- 設備・造作の撤去条項の整理
- 契約終了時の精算条項の整理
- 定期建物賃貸借に関する説明書面の作成支援
- 契約書全体の整合性・不足事項の確認
税務上の取扱いについて具体的な判断が必要な場合には、 税理士等への確認が必要です。
まとめ
① 定期建物賃貸借契約は、期間満了により原則として終了します。
② 引き続き賃貸する場合は、「更新」ではなく、新たに「再契約」するのが基本です。
③ 再契約では、賃料・期間・再契約料・保証金等を改めて合意します。
④ 保証金を旧契約から新契約へ引き継ぐ場合は、その旨を明確にします。
⑤ 保証金の償却をいつ行うのかを明確にしておくことが重要です。
⑥ 旧契約の原状回復義務を新契約終了時まで引き継ぐ場合は、契約書に明記します。
⑦ 再契約の場合でも、定期建物賃貸借として必要な手続きを改めて確認します。
⑧ 再契約しない場合は、明渡し・原状回復・保証金精算まで計画的に進めます。
↓
終了通知
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再契約条件の協議
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再契約料・保証金・原状回復を整理
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新しい契約書
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定期建物賃貸借の事前説明
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新契約締結
この流れを明確にしておくことで、 再契約時・最終退去時のトラブルを防ぎやすくなります。
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