施設入居の際の自宅の処分
売却・賃貸・空き家のまま?後悔しない選択を考える

老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への 入居を考えるとき、施設選びと同時に考えなければならない 大きな問題があります。

それが、 「今まで住んでいた自宅をどうするのか」 という問題です。

自宅を売却するのか、賃貸するのか、 将来戻る可能性を考えてそのまま残すのか、 家族に利用してもらうのか。

長年暮らしてきた自宅だけに、 簡単には決められない問題です。

施設入居=すぐ自宅を売却、ではありません
施設へ入居するからといって、 必ず自宅を売却しなければならないわけではありません。

大きく分けると、

① 売却する
② 賃貸する
③ 空き家として保有する
④ 家族が住む・利用する


という選択肢があります。

重要なのは、 現在の状況だけでなく、5年後・10年後の生活や 資金まで考えて決めることです。

まず考えたい「施設入居は一時的か、長期か」

自宅をどうするかを決める前に、 まず考えたいのが 今後、自宅に戻る可能性があるのかという点です。

自宅に戻る可能性がある

身体状況の改善や家族の支援などによって 自宅生活へ戻る可能性があるなら、 急いで売却しない方がよい場合があります。

長期入居になる可能性が高い

今後も施設で生活する可能性が高い場合には、 空き家として保有し続ける費用と 売却・賃貸を比較する必要があります。

自宅をどうする?4つの選択肢

方法 メリット 注意点
売却する まとまった資金を確保できる。
固定資産税や維持管理の負担を減らせる。
売却後は原則として自宅へ戻れない。
税金や売却条件の確認が必要。
賃貸する 家賃収入を施設費等に充てられる可能性がある。
所有権を残せる。
修繕、空室、管理、賃借人との契約などが必要。
空き家で保有する 自宅へ戻る選択肢を残しやすい。 固定資産税、管理費、修繕、防犯、庭木等の管理が必要。
家族が利用する 家族に有効利用してもらえる。 将来の相続や使用関係について整理しておくことが重要。

選択肢① 自宅を売却する

今後、自宅に戻る可能性が低い場合には、 自宅を売却して 施設での生活資金を確保する 方法があります。

売却代金を、
  • 施設の入居時費用
  • 毎月の施設利用料
  • 介護サービス費
  • 医療費
  • 将来の住み替え費用
  • 生活予備資金
などに充てることができます。
「自宅」という不動産を、 高齢期の生活を支える「現金」に変えるという考え方です。

ただし、 一度売却すれば原則として元の自宅には戻れません。

本人の希望を十分確認したうえで 判断することが大切です。

売却するなら、まず「いくらで売れそうか」を確認

自宅を売却するか迷っている段階でも、 まず 現在の市場価格の目安を把握する ことには意味があります。

例えば、

自宅売却予想額 3,000万円
施設費用    月25万円


であれば、
25万円 × 12か月 = 年間300万円

というように、 自宅の資産価値と今後必要になる生活費を 具体的に比較できるようになります。

実際には年金収入、預貯金、介護費、医療費、 税金等もありますので、 自宅の売却代金だけで判断するのではなく、 資産全体で考えることが重要です。

自宅を売却するときは税金にも注意

不動産を売却して利益が出た場合には、 譲渡所得に対する税金が問題になることがあります。

一方、一定の要件を満たす居住用財産の売却では、 3,000万円の特別控除などを 利用できる可能性があります。

施設へ転居した後に自宅を売却する場合は、 特例を利用できる期間や要件に注意が必要です。

「以前は自宅だったから、いつ売っても 3,000万円控除が使える」というわけではありません。

税務上の適用可否は個別事情によって異なるため、 必要に応じて税理士等へ確認することが大切です。

選択肢② 自宅を賃貸する

自宅を手放したくない場合には、 賃貸住宅として活用する方法もあります。

メリット

家賃収入を得られれば、 施設の月額費用の一部を 補うことができます。

デメリット

空室、修繕、設備故障、賃料滞納、 入居者対応などの問題が発生する可能性があります。

「とりあえず貸して、必要になったらすぐ戻ればよい」 とは限りません。

一度賃貸すると、 賃貸借契約の内容や借地借家法上のルール等により、 貸主の希望だけで直ちに明渡しを求められない場合があります。

将来自宅へ戻る可能性がある場合には、 賃貸方法や契約内容を慎重に検討する必要があります。

選択肢③ 自宅を空き家のまま残す

「まだ売りたくない」 「施設に馴染めるか分からない」 という場合には、 一定期間、自宅を空き家として残す方法もあります。

ただし、誰も住まなくなった住宅には 管理上の問題が生じます。

  • 定期的な換気
  • 郵便物の確認
  • 庭木・雑草の管理
  • 雨漏り等の建物確認
  • 水道設備の管理
  • 防犯対策
  • 火災保険等の確認
  • マンションの場合は管理費・修繕積立金等の支払い
  • 固定資産税等の支払い
「何もしないで残す」のも、一つの選択をしていることになります。

長期間放置すると、 建物の劣化が進んだり、 近隣への影響が生じたりすることがあります。

選択肢④ 子どもなど家族に住んでもらう

子どもや親族が自宅を利用する方法もあります。

ただし、 「家族だから何も決めなくてもよい」 とは限りません。

確認しておきたいのは、
  • 無償で住むのか
  • 家賃を支払うのか
  • 固定資産税等を誰が負担するのか
  • 修繕費を誰が負担するのか
  • 将来売却するときどうするのか
  • 相続が発生したときどうするのか
などです。

最も注意したいのは「本人の判断能力」

施設入居時の自宅処分で、 特に重要なのが 所有者本人の判断能力です。

自宅を売却するには、 原則として所有者本人が売却内容を理解し、 有効な意思表示ができることが必要です。

認知症になったからといって、 子どもが親名義の自宅を自由に売却できるわけではありません。

「長男だから」 「家族全員が賛成しているから」 という理由だけで、 本人名義の不動産を代わりに処分できるものではありません。

認知症が進んでから売却する場合は?

本人の判断能力が十分でなく、 本人自身では有効な売買契約を行うことが難しい場合には、 状況に応じて 成年後見制度の利用を 検討することがあります。

成年後見人が選任された場合でも、 本人の財産は本人のために管理されます。

特に自宅が本人の「居住用不動産」に該当する場合、 成年後見人が処分するには家庭裁判所の許可が必要となる場合があります。

「後見人を付ければ自由に自宅を売却できる」 という制度ではありません。

だからこそ「元気なうち」に自宅の方針を考える

施設への入居を検討し始めた段階で、 本人に十分な判断能力があるのであれば、 自宅についても一緒に考えておくことが重要です。

  • 施設へ入ったら自宅を売却するのか
  • 一定期間は残しておくのか
  • 賃貸するのか
  • 家族に利用してもらうのか
  • 将来判断能力が低下した場合どうするのか
  • 相続時には誰に自宅を残したいのか

必要に応じて、 財産管理等委任契約、任意後見契約、遺言書 などを組み合わせて将来に備える方法もあります。

ただし、任意後見契約を結んでおけば、 将来どんな不動産でも無条件に売却できるという意味ではありません。

代理権の範囲や契約内容、本人の利益などを踏まえて 個別に検討する必要があります。

自宅を残すなら「相続」も考えておく

自宅を売却せず所有したまま生活する場合には、 将来の相続についても考えておく必要があります。

誰に自宅を残すのか

子どもが複数いる場合などは、 誰が不動産を相続するのかを 考えておくことが重要です。

誰も住まない可能性

子どもたちがすでに自宅を持っている場合、 相続後も誰も住まず、 空き家になることがあります。

本人の希望が明確であれば、 必要に応じて遺言書を作成しておくことも 選択肢の一つです。

施設選びと自宅処分は「別々」に考えない

施設入居には、 入居時の費用だけでなく、 毎月の生活費が長期間必要になります。

高齢期の住み替えは「住まい+資産」の問題です
例えば、

① 現在の自宅はいくらで売却できそうか
② 預貯金はいくらあるか
③ 年金収入はいくらあるか
④ 施設の月額費用はいくらか
⑤ 介護・医療費はいくら見込むか
⑥ 何年間の生活資金を準備するか


を一緒に考えることで、 無理のない施設選びがしやすくなります。

「高齢者住宅」と「自宅」を一緒に考える

高齢者住宅への住み替えでは、 「どの施設に入るか」だけを決めても問題は終わりません。

今まで住んでいた自宅をどうするかまで含めて 考える必要があります。

当方では、高齢者住宅紹介と不動産の両面から、 住み替えを考えることができます。

・高齢者住宅を探す
・施設費用を確認する
・現在の自宅の状況を確認する
・売却、賃貸、保有を比較する
・将来の生活資金を考える
・必要に応じて任意後見や遺言等も検討する

サ高住管理者8年間の経験を、住み替え支援に活かします

私は、 サービス付き高齢者向け住宅の管理者として8年間、 高齢者の実際の生活に関わってきた経験があります。

その経験を活かし、 現在は高齢者住宅紹介事業を行っています。

施設を紹介するだけでなく、 「入居後にどのような生活になるのか」 という視点を大切にしています。

そして施設への入居に伴って問題となる 「残された自宅をどうするか」についても、 不動産の視点から一緒に考えることができます。

施設入居と自宅処分を考える流れ

STEP 1 本人の希望を確認
どのような高齢者住宅で、どのような生活を送りたいのか確認します。
STEP 2 資産・収入を確認
年金、預貯金、不動産等を整理し、無理のない予算を考えます。
STEP 3 高齢者住宅を探す
身体状況、介護、医療、認知症への対応等も考えて候補を探します。
STEP 4 自宅の価値・利用方法を検討
売却・賃貸・保有・家族利用などを比較します。
STEP 5 施設入居後の資金計画を確認
施設費、介護費、医療費などを含めて将来の生活資金を考えます。
STEP 6 必要に応じて将来対策
見守り、財産管理等委任、任意後見、遺言等も検討します。

施設入居前に確認したい自宅のチェックリスト

  • 本人は将来自宅へ戻りたいと思っているか
  • 自宅の名義人を確認したか
  • 住宅ローン等の残債はないか
  • 現在の市場価格の目安を確認したか
  • 売却した場合の税金を確認したか
  • 賃貸した場合の収支を検討したか
  • 空き家にした場合の管理方法を決めたか
  • 固定資産税・管理費等を確認したか
  • 本人の判断能力に問題はないか
  • 将来認知症になった場合の財産管理を考えたか
  • 自宅を残す場合の相続について考えたか
  • 施設費用を何年間支払えるか確認したか

まとめ

① 施設へ入居しても、自宅をすぐ売る必要があるとは限りません。

② 売却・賃貸・空き家保有・家族利用を比較します。

③ 自宅へ戻る可能性と将来の施設生活を考えて判断します。

④ 自宅を売却する場合は、価格だけでなく税金も確認します。

⑤ 認知症等で判断能力が低下すると、本人名義の自宅を自由に売却できない場合があります。

⑥ 自宅を残す場合は、空き家管理や将来の相続も考えます。

⑦ 高齢者住宅選びと自宅の処理を一体として考えることが大切です。

「施設を探す」だけではなく、その後の暮らしまで考える
高齢者住宅を探す

施設費用を確認する

自宅をどうするか考える

老後の資金計画を立てる

必要に応じて見守り・任意後見・遺言等を準備する


施設入居を 「引っ越し」だけの問題として考えず、 住まい・財産・介護・将来の生活をまとめて考える ことが大切です。
高齢者住宅への住み替えと
ご自宅の今後について一緒に考えます
サ高住管理者として8年間の経験を活かした高齢者住宅紹介と、 施設入居に伴うご自宅の売却・賃貸等について、 お気軽にご相談ください。
川崎駅前通行政書士事務所
TEL:090-5429-0927
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