定款変更・事業目的変更
新しい事業を始める前に確認したい会社手続き

会社を設立した後、 新しい事業を始めたり、 事業内容を拡大したりすることがあります。

その際に確認しておきたいのが、 「現在の定款・登記上の事業目的に、 これから行う事業が含まれているか」 という点です。

特に、 建設業、宅建業、古物商、 各種許認可事業などを新たに始める場合には、 許認可申請の前に 事業目的の記載内容を確認することが重要です。

新しい事業を始めるなら、まず「目的」を確認
新しい事業を検討
↓
現在の定款・登記事項証明書を確認
↓
目的に含まれていなければ定款変更
↓
株主総会等で決議
↓
法務局で目的変更登記
↓
必要な許認可申請


という流れで考えると整理しやすくなります。

そもそも「定款」とは?

定款とは、 会社の基本的なルールを定めた書類です。

会社の商号、目的、本店所在地、 株式、機関設計など、 会社運営の基本事項が記載されています。

定款には、例えば、
  • 商号
  • 事業目的
  • 本店所在地
  • 発行可能株式総数
  • 株式譲渡制限
  • 取締役・取締役会等の機関
  • 事業年度
などが定められています。

「事業目的」とは?

事業目的とは、 その会社がどのような事業を行う会社なのか を示すものです。

会社の登記事項証明書にも、 「目的」として記載されます。

例えば、

・不動産の売買、賃貸、管理及び仲介
・建築工事の請負、施工及び管理
・各種コンサルティング業務


などの形で記載されます。

新しい事業が目的に入っていない場合は?

会社が新しい事業を始めようとした際、 現在の事業目的にその内容が含まれていない場合には、 定款の事業目的を変更・追加 することを検討します。

許認可が必要な事業では、 「実際に事業を始めてから目的を追加する」のではなく、 許認可申請前に確認することが重要です。

どのような時に事業目的変更が必要?

① 新規事業を始める

今まで行っていなかった分野へ 事業を拡大する場合です。

② 許認可事業を始める

建設業、宅建業、古物商など、 許認可が必要な事業を新たに始める場合です。

③ 事業内容を整理する

使っていない目的を削除し、 現在の事業内容に合わせて定款を整理する場合があります。

④ 将来の事業を追加する

近い将来開始する予定の事業を、 あらかじめ目的へ追加しておく場合があります。

目的は何でも書けばよい?

事業目的は、 単に多く書けばよいというものではありません。

事業目的には、
  • 適法性
  • 営利性
  • 明確性
  • 具体性
などを意識する必要があります。

内容が曖昧すぎたり、 違法な内容だったりする場合には、 適切な目的とはいえません。

「前各号に附帯又は関連する一切の事業」とは?

定款の最後に、

「前各号に附帯又は関連する一切の事業」

という文言が入っていることがあります。

これは、 主要な事業目的に付随・関連する事業を 一定範囲で含めるための一般的な表現です。

ただし、この一文があれば どんな新規事業でも自由に行える、 という意味ではありません。

新たな事業が現在の目的と関連しているのか、 許認可上どのような目的記載が求められるのかを 個別に確認することが重要です。

許認可と事業目的の関係

許認可申請では、 申請会社の事業目的に 対象事業が含まれているか確認されることがあります。

事業の例 目的確認のポイント
建設業 建設工事の請負・施工等に関する目的があるか確認します。
宅地建物取引業 不動産売買・交換・賃貸の代理・媒介等に関する目的を確認します。
古物商 中古品等の売買に関する目的が現在の事業内容と整合しているか確認します。
各種許認可事業 許認可行政庁が事業目的についてどのように確認するかを事前に調べます。

建設業許可を取得したい会社の場合

会社が新たに建設業を始める場合、 まず現在の登記事項証明書の「目的」を確認します。

例えば、
  • 建築工事業
  • 土木工事業
  • 電気工事業
  • 管工事業
  • 機械器具設置工事業
  • 各種建設工事の請負・施工・管理
など、 実際に行う事業との整合性を確認します。

建設業許可では、 事業目的だけで許可が取れるわけではありませんが、 申請前に会社の目的と実際の事業内容を一致させておく ことが大切です。

宅建業を始める場合

宅地建物取引業を始める場合も、 現在の事業目的を確認します。

例えば、

不動産の売買、交換、賃貸、管理及びこれらの代理・仲介

など、 行う業務に合った目的を検討します。

実際の記載内容は、 会社が行う事業範囲に合わせて整理することが重要です。

株式会社の事業目的変更はどう決める?

株式会社が定款の事業目的を変更する場合には、 原則として 株主総会の特別決議 が必要です。

株式会社の一般的な流れ
変更する事業目的を検討
↓
株主総会を開催
↓
特別決議
↓
株主総会議事録作成
↓
定款内容を変更
↓
目的変更登記

合同会社の場合は?

合同会社の場合には、 定款変更について 原則として総社員の同意 が必要となります。

ただし、 定款に別段の定めがある場合など、 会社の状況によって確認が必要です。

株式会社と合同会社では、 定款変更の意思決定方法が異なります。

事業目的変更には登記が必要

株式会社や合同会社の 登記事項となっている「目的」を変更した場合には、 法務局で 目的変更登記 を行う必要があります。

法務局への商業登記申請の代理は司法書士の業務です。

行政書士が会社関係書類や許認可関係を支援する場合でも、 登記申請部分は司法書士と連携して進める方法があります。

変更登記の期限

会社の登記事項である目的を変更した場合には、 原則として変更の日から2週間以内 に変更登記を行う必要があります。

株主総会等で目的変更を決議したら、 議事録等を整え、 速やかに登記手続きへ進むことが重要です。

定款の書き換えはどうする?

定款変更の決議を行った後、 現在の定款に新しい事業目的を反映させます。

実務上は、

  • 変更前の目的
  • 追加する目的
  • 削除する目的
  • 変更後の目的全文
を整理しておくと分かりやすくなります。

公証人の認証は再度必要?

株式会社設立時の原始定款では、 公証人の認証が必要となる場合があります。

しかし、 設立後に株主総会等で定款変更した場合、 通常は 変更のたびに公証人の再認証を受けるわけではありません。

設立時の定款認証と、 設立後の定款変更は別の手続きとして考えます。

目的を増やしすぎるデメリット

「将来やるかもしれないから」と 非常に多くの目的を入れる会社もあります。

しかし、 事業目的が多すぎると、 会社が実際に何をしているのか 分かりにくくなることがあります。

金融機関、取引先、許認可行政庁などから見たときに、 会社の本業が分かりにくくならないようにすることも大切です。

将来の事業はどこまで入れる?

現在行っていない事業でも、 近い将来具体的に開始する予定がある場合には、 あらかじめ事業目的へ入れておく方法があります。

近いうちに始める事業

具体的な計画がある場合には、 事前に目的追加を検討できます。

全く予定のない事業

将来の可能性だけで大量に入れるより、 会社の事業実態に合わせて整理した方が分かりやすい場合があります。

定款変更と許認可申請は順番が重要

新しい許認可事業を始める場合、 手続きの順番を整理しておくことが大切です。

例えば許認可が必要な新規事業なら
新規事業を決定
↓
現在の事業目的を確認
↓
必要なら定款変更
↓
目的変更登記
↓
登記事項証明書取得
↓
許認可申請


という流れを検討します。

会社名・本店・役員も一緒に変更する場合

事業目的変更と同時に、

  • 商号変更
  • 本店移転
  • 役員変更
  • 代表者変更
  • 資本金変更

などを行う場合があります。

この場合は、 それぞれについて会社法上の決議、 登記、許認可上の変更届等が必要か整理します。

会社形態変更の際にも定款は重要

株式会社から合同会社、 合同会社から株式会社へ 組織変更する場合にも、 新しい会社形態に合わせた 定款内容を作成する必要があります。

事業目的だけでなく、 会社形態・役員構成・意思決定方法なども 一緒に見直す機会になります。

目的変更でよくある失敗

① 許認可申請直前に気付く

申請直前になって、 目的追加が必要と分かり、 登記手続きが先に必要になるケースです。

② 事業内容と目的がずれている

実際に行う事業と定款の文言が うまく対応していないケースです。

③ 目的を増やしすぎる

会社の事業内容が分かりにくい定款になってしまうケースです。

④ 登記を忘れる

株主総会で定款変更しただけで、 目的変更登記を忘れてしまうケースです。

事業目的変更チェックリスト

  • 現在の定款を確認した
  • 現在の登記事項証明書を確認した
  • 新しく始める事業内容を整理した
  • 現在の目的で対応できるか確認した
  • 許認可が必要な事業か確認した
  • 許認可上求められる目的表現を確認した
  • 追加する目的文言を作成した
  • 不要な目的を削除するか検討した
  • 株主総会等の決議方法を確認した
  • 議事録等を作成した
  • 変更登記の期限を確認した
  • 登記後の許認可申請・変更届を確認した

行政書士に相談できること

定款変更・事業目的変更では、 単に文言を追加するだけでなく、 これから行う事業や必要な許認可との整合性 を考えることが重要です。

行政書士は、 業務として取り扱うことができる範囲で、
  • 事業目的案の作成支援
  • 定款変更に関する書類作成支援
  • 株主総会議事録等の作成支援
  • 新規事業に必要な許認可の確認
  • 建設業許可・宅建業免許等の申請
  • 許認可変更届等の手続き
  • 司法書士との連携
などを支援することができます。
法務局への商業登記申請の代理は司法書士の業務です。

事業目的の変更登記が必要な場合には、 司法書士と連携しながら、 行政書士が許認可関係を担当する形が考えられます。

まとめ

① 新しい事業を始める前に、現在の定款・登記上の事業目的を確認しましょう。

② 事業目的に含まれていない場合には、定款変更・目的追加を検討します。

③ 株式会社では、原則として株主総会の特別決議が必要です。

④ 合同会社では、原則として総社員の同意が必要となります。

⑤ 事業目的の変更後には、原則2週間以内に変更登記を行います。

⑥ 許認可事業を始める場合は、許認可申請前に目的を確認することが重要です。

⑦ 登記申請代理は司法書士、許認可関係は行政書士など、必要に応じて専門家を連携させます。

定款変更は「これから何をする会社なのか」を整理する機会です
新しい事業を検討
↓
現在の目的を確認
↓
必要な目的を追加・整理
↓
株主総会等で決議
↓
目的変更登記
↓
許認可申請
↓
新規事業開始


事業目的を先に整理しておくことで、 その後の許認可申請や事業展開を スムーズに進めやすくなります。
定款変更・事業目的変更・
新規事業に必要な許認可についてご相談ください
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川崎駅前通行政書士事務所
TEL:090-5429-0927
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