高齢者の身元保証サービスを選ぶときの注意点とは?
契約内容・料金・預託金を確認するポイント
老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅への入居、 あるいは病院への入院を考えたときに、 身元保証人を頼める家族や親族がいない という方がいらっしゃいます。
そのような場合の選択肢の一つとして、 民間事業者等が提供する 高齢者向けの身元保証サービス があります。
身元保証だけでなく、 緊急時の対応、生活支援、財産管理に関する支援、 さらには死後事務まで 一体的に提供しているサービスもあります。
便利である一方、 高齢者の生活・財産・死亡後の手続きにまで 長期間関係する可能性があるため、 「施設から紹介されたから」 「料金が安かったから」 という理由だけで契約するのではなく、 契約内容を十分確認することが重要です。
少なくとも、 ① 何をしてくれるのか
② 何をしてくれないのか
③ 初期費用はいくらか
④ 月額費用はいくらか
⑤ 追加料金はいつ発生するか
⑥ 預託金はいくら必要か
⑦ 預託金を誰がどのように管理するか
⑧ 中途解約した場合にいくら返金されるか
⑨ 本人が亡くなった後に何をしてくれるか
⑩ 事業者が将来サービスを続けられなくなった場合はどうなるか
まで確認してから契約することが大切です。
そもそも身元保証サービスとは?
高齢者向けの身元保証サービスとは、 家族や親族に代わる支援者が必要な高齢者に対して、 事業者等が契約に基づき 一定の支援を提供するサービスです。
- 高齢者施設入居時の身元保証等
- 入院時の身元保証等
- 緊急連絡先としての対応
- 通院・入院時の支援
- 日常生活上の支援
- 財産管理に関する支援
- 葬儀・火葬に関する死後事務
- 納骨に関する死後事務
- 施設・住居の退去等に関する支援
事業者によって 提供内容・料金・契約条件は異なります。
したがって、 サービス名ではなく 実際の契約書・重要事項・料金表等を確認すること が重要です。
身元保証サービスを選ぶときの最重要ポイント
① サービス内容
どこまで対応してもらえるのか、 具体的な業務範囲を確認します。
② 料金
初期費用だけでなく、 月額料金・都度料金・更新費用等まで確認します。
③ 預託金
いくら預けるのか、 誰がどのように管理するのかを確認します。
④ 解約・返金
途中で契約をやめた場合に 何が返金されるのかを確認します。
⑤ 死亡後の対応
葬儀・納骨・施設退去等を どこまで行うのか確認します。
⑥ 事業継続体制
長期間の契約になることを考え、 事業者の継続性や引継ぎ体制も確認します。
ポイント① 「何をしてくれるか」を具体的に確認
最初に確認するのは、 サービスの具体的な内容です。
例えば、 「入院時の支援あり」 とパンフレットに書いてあっても、 それだけでは十分ではありません。
- 病院への同行はしてくれるか
- 救急搬送された場合に対応してくれるか
- 夜間でも対応してくれるか
- 休日でも対応してくれるか
- 入院手続きに同行してくれるか
- 退院時にも対応してくれるか
- 必要な日用品等の購入を依頼できるか
- 遠方の病院でも対応できるか
ポイント② 「してくれないこと」も確認
契約では、 してくれることだけでなく、 対応しないことを確認することも重要です。
- 24時間対応ではない
- 一定地域外への同行はできない
- 長時間の付き添いは別料金
- 日用品購入等は別料金
- 財産管理は別契約
- 死後事務は別契約
- 葬儀費用等は別途実費
ポイント③ 初期費用だけで判断しない
身元保証サービスでは、 契約時にまとまった費用が必要となる場合があります。
しかし、 最初に支払う金額だけを比較しても、 実際の負担額は分かりません。
| 費用 | 確認する内容 |
|---|---|
| 契約時費用 | 入会金・契約金・事務手数料等 |
| 身元保証料 | 施設入居・入院等の保証に関する費用 |
| 月額料金 | 見守り・連絡等に毎月必要となる費用 |
| 年会費 | 毎年必要となる費用の有無 |
| 都度料金 | 訪問・同行・緊急対応等の費用 |
| 交通費等 | 交通費・宿泊費等が別途必要か |
| 死後事務費用 | 葬儀・納骨・解約等に関する報酬 |
| 実費 | 葬儀代、納骨費用、家財処分費等 |
+
月額・年額費用
+
訪問・同行等の都度費用
+
緊急対応費
+
死後事務の報酬
+
葬儀・納骨・家財処分等の実費
= 将来必要となる可能性がある費用全体
ポイント④ 預託金とは?
身元保証サービスでは、 将来発生する費用に備えて、 あらかじめ一定額を 事業者等へ預ける仕組みが設けられている場合があります。
これが一般に 預託金 などと呼ばれるものです。
- 葬儀費用
- 火葬費用
- 納骨費用
- 施設の未払費用
- 住居の明渡し費用
- 家財処分費用
- 死後事務に必要となる実費
ポイント⑤ 預託金は「金額」より「管理方法」が重要
例えば、 「預託金100万円」と説明された場合、 100万円という金額だけを見て 高い・安いと判断するのは十分ではありません。
- 預託金の名義はどうなるか
- 事業者自身の財産と分けて管理されるか
- 専用口座等で管理されるか
- 管理状況の報告を受けられるか
- 何に使用できるのか
- 使用した場合に明細が交付されるか
- 残高を定期的に確認できるか
- 解約時の残金はどうなるか
- 死亡後の残金は誰へ返還されるか
ポイント⑥ 途中で解約したらいくら戻る?
身元保証サービスは、 契約から終了まで何年にも及ぶ可能性があります。
その間に、
- 家族と同居することになった
- 別の施設へ移ることになった
- 親族が支援できるようになった
- サービス内容に満足できなかった
- 別の事業者へ変更したくなった
そこで契約前に、 中途解約の条件を確認します。
入会金・契約事務手数料等は返金されない、 預託金は未使用分のみ返金されるなど、 費目によって取扱いが異なる場合があります。
ポイント⑦ 死亡後に残ったお金はどうなる?
本人が亡くなった後、 預託金等から 葬儀費用や死後事務費用等を支払った結果、 残金が生じることがあります。
その残金を 誰へ、どのような手続きで返還するのかも 確認しておく必要があります。
契約関係や相続関係等を踏まえ、 残額をどのように精算・返還するのかが 契約上明確になっているか確認しましょう。
ポイント⑧ 身元保証と財産管理を同じ事業者に任せる場合
事業者によっては、 身元保証だけでなく、 生活支援、財産管理に関する支援、 死後事務まで一体的に提供している場合があります。
窓口が一つになることは便利ですが、 注意すべき点もあります。
- 誰がお金を管理するのか
- 誰が支出を承認するのか
- 領収書等は保存されるか
- 定期的な収支報告があるか
- 本人が残高を確認できるか
- 第三者によるチェック体制があるか
ポイント⑨ 事業者が将来なくなったらどうする?
身元保証サービスは、 契約時だけでなく、 10年、20年と続く可能性があります。
そのため、 現在サービスを提供できていることだけでなく、 将来もサービスを継続できる体制があるか という視点も必要です。
- 法人としての運営体制
- 担当者一人だけに依存していないか
- 担当者が退職した場合の引継ぎ
- 代表者が対応できなくなった場合の体制
- 預託金の管理体制
- 事業終了時の契約引継ぎ
- 事業終了時の預託金返還方法
ポイント⑩ 担当者が変わっても対応できる?
契約時に信頼できる担当者がいても、 その人が将来もずっと担当するとは限りません。
退職、転勤、病気などによって 担当者が変わる可能性があります。
- 複数人で情報を共有しているか
- 支援記録を残しているか
- 担当変更時の引継ぎ方法
- 緊急時の代替担当者がいるか
- 休日・夜間の連絡体制
ポイント⑪ 「24時間対応」の意味を確認
パンフレットに 「24時間対応」と記載されていても、 その意味は事業者によって異なる場合があります。
電話受付のみ
24時間電話には出てもらえるが、 現地へすぐ来てもらえるとは限りません。
現地対応
夜間でも一定の条件で 病院や施設へ出向いてくれる場合があります。
ポイント⑫ 医療同意について確認
病院へ入院する際、 身元保証サービスの担当者が 同行してくれる場合があります。
しかし、 同行してくれることと、 本人に代わって医療行為への同意ができることは 別の問題です。
「手術が必要になった場合にはどうするのか」 「本人が意思表示できなくなった場合はどうするのか」 についても、 契約前に確認しておくことが大切です。
ポイント⑬ 死後事務はどこまで含まれている?
身元保証サービスの中に 「死後事務」が含まれている場合があります。
しかし、 死後事務という言葉だけでは 具体的な内容は分かりません。
- 死亡時の関係者への連絡
- 葬儀社への連絡
- 火葬に関する事務
- 納骨に関する事務
- 施設退去に伴う事務
- 住居に関する契約終了等の事務
- 公共料金等の解約
- 携帯電話等の解約
- 家財等への対応
死後事務と遺言は別です
身元保証サービスに 死後事務が含まれていたとしても、 それだけで財産の承継先まで 決められるわけではありません。
死後事務委任
葬儀・納骨・各種解約など、 死亡後の「事務」を準備します。
遺言
自宅・預貯金等の財産を 誰へ承継させるかなどを定めます。
任意後見も身元保証とは別の仕組み
身元保証サービスがあれば、 将来認知症になっても すべて対応できるとは限りません。
判断能力が低下した後の 財産管理や法律行為への備えとしては、 任意後見制度などを 別に検討することがあります。
見守り・財産管理等委任
↓
施設入居・入院
身元保証・緊急連絡
↓
判断能力が低下
任意後見等
↓
死亡後
死後事務委任
↓
財産の承継
遺言・相続
施設から紹介された事業者なら安心?
高齢者施設から 身元保証サービス事業者を 紹介される場合があります。
施設が紹介していることは 事業者を検討する際の一つの情報にはなりますが、 それだけで契約内容を確認しなくてよい ということにはなりません。
サービス内容、料金、預託金、 解約条件等を自分自身で確認しましょう。
契約書とパンフレットの両方を確認する
パンフレットには 分かりやすいサービス内容が記載されていても、 具体的な条件は契約書等に記載されていることがあります。
- 契約書
- 利用規約
- 料金表
- 重要事項等の説明資料
- 預託金に関する書類
- 解約・返金に関する規定
- 死後事務に関する契約書
- 財産管理に関する契約書
契約を急がされる場合は慎重に
施設への入居日が迫っていると、 「早く保証人を決めなければ」 と焦ってしまうことがあります。
分からない条項がある場合には、 契約前に説明を求めることが重要です。
本人の判断能力が十分なうちに契約する
身元保証、財産管理、任意後見、 死後事務などの契約では、 本人が契約内容を理解し、 自分の意思で契約することが重要です。
認知症がかなり進んでからでは、 希望する契約を締結できない場合があります。
契約前に確認したい15項目
- 身元保証の具体的な範囲を確認した
- 緊急時の対応時間を確認した
- 夜間・休日の対応を確認した
- 現地への駆け付け条件を確認した
- 初期費用を確認した
- 月額・年額費用を確認した
- 都度料金を確認した
- 交通費等の実費を確認した
- 預託金の金額を確認した
- 預託金の管理方法を確認した
- 中途解約時の返金方法を確認した
- 死亡後の残金処理を確認した
- 死後事務の範囲を確認した
- 担当者変更時の引継ぎ体制を確認した
- 事業者が事業を終了した場合の対応を確認した
サ高住の管理者として8年間、現場に携わってきました
私は、 サービス付き高齢者向け住宅の管理者として8年間、 実際の高齢者住宅の現場に携わってきました。
高齢者住宅では、 入居した時点では元気だった方でも、 その後、 認知症が進んだり、 介護度が上がったり、 急に入院したりすることがあります。
そのようなときに重要になるのは、 身元保証サービスのパンフレットではなく、 実際に誰が、どこまで、どのくらいの時間で 対応してくれるのかということです。
- 夜間の救急搬送時に誰へ連絡するのか
- 病院へ誰が行くのか
- 入院用品等を誰が準備するのか
- 施設との連絡を誰が行うのか
- お金を誰が管理するのか
- 認知症が進んだ場合にどうするのか
- 死亡した場合に誰が対応するのか
現在は、 この経験を活かして 高齢者住宅の紹介事業にも携わっています。
高齢者住宅を選ぶ際には、 建物や毎月の費用だけでなく、 身元保証・緊急時対応・将来の認知症・死亡後の対応まで 含めて考えることが大切です。
行政書士に相談できること
身元保証サービスを検討する際には、 契約書の内容を整理したうえで、 本人がどのような備えを必要としているのかを 考えることが重要です。
- 身元保証等に関する契約書の作成・内容整理
- 見守り契約書の作成
- 財産管理等委任契約書の作成
- 任意後見契約の準備・文案作成支援
- 死後事務委任契約書の作成
- 遺言書作成支援
- 高齢者住宅入居に伴う書類の整理
- 終活・相続関係書類の作成
身元保証サービスを選ぶ手順
施設入居、緊急連絡、入院、財産管理、死後事務など、必要な支援を整理します。
単に「身元保証人が必要」と考えず、施設が何を求めているのか確認します。
身元保証、生活支援、緊急対応、死後事務等を比較します。
初期費用だけでなく、月額・都度料金・実費等まで確認します。
預託金が分別管理されるか、残高報告があるか等を確認します。
途中でやめた場合に何が返金されるのか確認します。
死後事務の範囲、費用、残金精算等を確認します。
分からない点を残したまま署名・押印しないことが大切です。
まとめ
① 身元保証サービスは、事業者によってサービス内容や料金体系が異なります。
② 「何をしてくれるか」と同時に「何をしてくれないか」を確認することが重要です。
③ 初期費用だけではなく、月額料金・都度料金・実費等を含めた総額で考えます。
④ 預託金は金額だけでなく、管理方法・使用方法・報告方法を確認します。
⑤ 中途解約した場合に何が返金されるのかを契約前に確認します。
⑥ 本人の死亡後に預託金等の残額をどのように精算・返還するのかも重要です。
⑦ 財産管理とサービス提供を同じ事業者が行う場合は、チェック体制にも注意します。
⑧ 長期契約になる可能性があるため、事業者の継続体制や担当者の引継ぎも確認します。
⑨ 身元保証サービスだけで、任意後見・死後事務・遺言の役割をすべて代替できるとは限りません。
⑩ 本人が元気で契約内容を十分理解できるうちに、将来の備えを検討することが大切です。
↓
料金総額
↓
預託金の管理
↓
解約・返金条件
↓
緊急時の対応
↓
死亡後の対応
↓
事業者の継続・管理体制
この7つを確認してから 契約を検討することが重要です。
お気軽にご相談ください
「保証人を頼める親族がいない」
「身元保証サービスの契約内容を整理したい」
「預託金や料金の仕組みがよく分からない」
「認知症になった後の財産管理も準備したい」
「死後事務・遺言まで含めて老後の備えを考えたい」
といった段階からご相談いただけます。
高齢者住宅の紹介から、見守り・身元保証・財産管理等委任・任意後見・
死後事務・遺言・相続まで、状況に応じて整理いたします。