一人暮らしの高齢者は見守り契約で何を頼める?
定期訪問・緊急連絡・入院時対応まで解説

一人暮らしを続けている高齢者の方から、 よく聞かれる不安があります。

  • 自宅で倒れたら誰が気付いてくれるのか
  • 急に入院することになったらどうすればよいのか
  • 離れて暮らす子どもに毎回頼むのは申し訳ない
  • 身近に頼れる親族がいない
  • 認知症になったことに誰も気付かなかったら心配
  • 施設へ入った後も相談できる人がほしい

このような場合に、 元気なうちから検討できる方法の一つが 見守り契約です。

では、見守り契約を締結すると、 実際にどこまで頼むことができるのでしょうか。

最初に結論
見守り契約では、契約内容に応じて、

定期的な電話
定期訪問
生活状況の確認
緊急時の連絡
本人からの相談
必要に応じた関係者への連絡


などを依頼することが考えられます。

一方で、 見守り契約を結んだだけで、 預貯金を自由に管理したり、 施設入居の身元保証をしたり、 本人に代わって医療行為への同意をしたり、 死亡後の葬儀・納骨等を行ったりできるわけではありません。

一人暮らしの高齢者の場合には、 見守りだけでなく、 財産管理等委任・身元保証・任意後見・死後事務委任・遺言 などを必要に応じて組み合わせて考えることが重要です。

そもそも見守り契約とは?

見守り契約とは、 本人と支援者との間で、 定期的な連絡や訪問等を行うことを 取り決める契約です。

「見守り契約」という名称の 全国一律の法定制度があるわけではありません。

そのため、 誰が・いつ・どのくらいの頻度で・何をするのか を契約書で具体的に決めておくことが重要です。

見守り契約で頼める主なこと

① 定期電話

決められた頻度で電話等を行い、 体調や生活状況等を確認します。

② 定期訪問

自宅や高齢者住宅等を訪問し、 本人と直接面談します。

③ 相談

生活上の困りごとや、 将来について本人から相談を受けます。

④ 緊急連絡

異変等があった場合の連絡方法を あらかじめ決めておきます。

⑤ 関係者への連絡

契約内容や本人の同意に基づき、 必要な関係者との連絡を行います。

⑥ 将来の支援の検討

本人の状態が変化した場合に、 必要となる支援を一緒に検討します。

定期電話では何を確認する?

電話による見守りは、 単に 「今日も元気ですか」 と確認するだけではありません。

例えば、
  • 体調に大きな変化がないか
  • 転倒等がなかったか
  • 食事が取れているか
  • 通院や服薬で困っていることがないか
  • 生活上の困りごとがないか
  • 介護サービス等で困っていないか
  • 不審な電話や訪問販売等で困っていないか
  • 次回の訪問予定
などを確認することが考えられます。
電話で重要なのは、 回答の内容だけではありません。

以前より会話がかみ合わない、 同じ話が増えた、 約束を何度も忘れるなど、 継続して連絡することで気付く変化もあります。

定期訪問では何を確認する?

電話では分からないことも、 実際に本人と会うことで 気付く場合があります。

本人の様子

表情、会話、身だしなみ、 歩行状態等に大きな変化がないか確認します。

生活上の困りごと

本人から日常生活で困っていることがないか聞きます。

住環境

本人の同意を前提に、 生活環境に大きな変化がないか確認します。

今後の予定

通院、介護サービス、施設見学など、 今後必要となる予定を確認します。

見守りでは「前回との違い」が大切です

私は、 サービス付き高齢者向け住宅の管理者として8年間、 実際の高齢者住宅の現場に携わってきました。

高齢者の生活状態は、 一日で大きく変わるとは限りません。

例えば、
  • 以前より歩く速度が遅くなった
  • 同じ話をすることが増えた
  • 身だしなみに変化が出てきた
  • 外出する回数が減ってきた
  • 食事量が減っているように感じる
  • 予定を間違えることが増えた
  • 生活上の小さな困りごとが増えてきた
といった変化から、 今後必要となる支援が見えてくる場合があります。

現在は、この経験を活かして 高齢者住宅の紹介事業にも携わっています。

見守りは、 本人を監視するためのものではありません。

本人の生活と意思を尊重しながら、 必要な支援につなげていくための継続的な関係 として考えることが大切です。

電話に出ない場合はどうする?

一人暮らしの高齢者の見守りでは、 「電話に出なかった場合にどうするか」 をあらかじめ決めておくことが重要です。

例えば、このような手順を契約時に決めます
STEP 1 電話・連絡を行う
予定した日時に本人へ連絡します。
STEP 2 時間を置いて再度連絡
外出・入浴・睡眠等で電話に出られない可能性も考えます。
STEP 3 別の連絡方法を試す
契約で定めている場合には、携帯電話等の別の方法を利用します。
STEP 4 指定された連絡先等へ確認
本人が指定した家族・施設・関係者等への連絡を検討します。
STEP 5 緊急性が高い場合
状況に応じ、救急・警察等への連絡を検討します。
「電話に1回出なかったら直ちに自宅へ入る」 という運用にするわけではありません。

外出や睡眠など様々な可能性があります。

本人のプライバシーにも配慮しながら、 どの段階で誰に連絡するのか、 緊急時にどこまで対応するのかを 契約時に決めておくことが重要です。

自宅への緊急立入りはどうする?

一人暮らしの場合には、 「連絡が取れないときに 支援者が自宅へ入れるようにしてほしい」 と考える方もいるでしょう。

しかし、 これは慎重に取り決める必要があります。

検討する場合には、
  • 合鍵を預けるのか
  • 鍵をどのように保管するのか
  • どのような場合に使用できるのか
  • 誰が立入りを判断するのか
  • 立入り後の記録をどう残すのか
  • 契約終了時に鍵をどう返却するのか
などを明確にする必要があります。
合鍵を預かる場合には、 鍵の保管・使用・返却について 書面でルールを定めておくことが大切です。

急に救急搬送されたら何を頼める?

一人暮らしの高齢者にとって、 大きな心配の一つが 急病や転倒による救急搬送です。

見守り契約に緊急時対応を含める場合には、 契約内容に応じて、 次のような対応を検討できます。

  • 本人から緊急連絡を受ける
  • 必要に応じて救急要請等につなぐ
  • 指定された家族・関係者へ連絡する
  • 搬送先について確認する
  • 必要な関係者との連絡を整理する
  • 契約内容に応じて病院への一定の対応を行う

入院した場合はどこまで頼める?

「見守りを頼んでいるから、 入院したらすべてやってもらえる」 とは限りません。

入院時の支援を希望する場合には、 何を依頼するのかを契約で具体的に定める ことが重要です。

項目 考え方
病院への連絡 契約内容に応じて対応を検討できます。
家族等への連絡 本人が指定した連絡先等への連絡を取り決めることができます。
入院時の一定の支援 具体的な内容、対応時間、費用等を契約で明確にします。
入院費等の支払い 見守り契約だけで本人の財産を自由に使用できるわけではありません。別途、適切な権限・契約等が必要です。
医療同意 見守り契約だけで本人に代わる包括的な医療同意権が当然に生じるものではありません。

医療同意については特に注意

見守り契約を締結していても、 支援者が本人に代わって手術・治療等について 包括的に医療同意できるわけではありません。

これは身元保証や任意後見の場合も、 「契約を結んでいるから当然に医療同意できる」 と考えるべきではありません。

そのため、 本人の判断能力が十分なうちに、 将来どのような医療・療養を希望するのかについて、 本人の意思を整理しておくことも大切です。

退院するときにも問題が出ることがあります

入院後は、 「退院すれば元の生活へそのまま戻れる」 とは限りません。

身体状態が変わったことで、 一人暮らしを続けることが難しくなる場合もあります。

退院に向けて、
  • 自宅へ戻れる状態なのか
  • 介護サービスが必要か
  • 住宅環境に問題がないか
  • 高齢者住宅への入居を検討する必要があるか
  • 今後の見守り頻度を増やす必要があるか
  • 財産管理等の支援が必要になっていないか
などを検討する場合があります。

施設や介護・医療関係者との連絡は?

本人が希望し、 契約上の権限や個人情報の取扱いを適切に整理したうえで、 必要に応じて関係者との連絡を行うことも考えられます。

高齢者住宅・施設

本人の生活状況等について、 必要な範囲で情報を確認します。

ケアマネジャー等

介護サービスに関する事項について、 必要に応じて連絡します。

医療機関

本人の通院・入院等について、 契約や本人の意思に応じて必要な連絡を行います。

家族・親族等

本人が指定した方へ、 必要な場合に連絡できる体制を整理します。

施設に入居した後も見守りを続けられる?

見守り契約は、 必ずしも自宅で一人暮らしをしている期間だけのものではありません。

本人が高齢者住宅へ入居した後も、 契約内容に応じて外部の支援者が 定期的に本人と連絡・面談することが考えられます。

施設職員による安否確認・生活支援と、 本人から直接依頼を受けた外部支援者による見守りは、 役割が同じとは限りません。

特に身寄りがない方の場合には、 施設入居後も本人自身の希望や困りごとを 定期的に確認する仕組みを持つことが考えられます。

買い物やお金の管理も頼める?

ここは、 見守りと財産管理を分けて考える必要があります。

見守り契約を締結しただけで、 支援者が本人の銀行口座から自由にお金を引き出したり、 財産を管理したりできるわけではありません。

財産管理まで必要となる場合には、 本人の判断能力や希望に応じて 財産管理等委任契約などを 別途検討することがあります。

少額の現金を預ける場合は?

日用品の購入などのために、 支援者へ少額の現金を預ける場合も考えられます。

その場合でも、 金銭管理は明確にしておくことが重要です。

  • 預かった日
  • 預かった金額
  • 支出した日
  • 支出の目的
  • 支出金額
  • 領収書等
  • 残高
  • 本人への報告
預かり金は「少額だから記録しなくてもよい」 と考えず、入出金と残高を継続的に記録することが重要です。

見守りの記録はなぜ必要?

見守りを継続する場合には、 電話・訪問等の記録を残しておくことも大切です。

例えば、
  • 電話・訪問日時
  • 本人の様子
  • 体調等の変化
  • 本人からの相談内容
  • 関係者への連絡内容
  • 預かり金等を扱った場合の記録
  • 次回確認すべき事項
などを記録します。

継続的な記録によって、 数か月前と現在の状態を比較しやすくなります。

こんな変化があったら次の支援を検討

物忘れが増えた

同じ質問や予定の間違いが増えるなど、 判断能力の変化が疑われる場合。

お金の管理が難しくなった

支払いや銀行手続き等に支障が出始めた場合。

自宅生活が難しくなった

介護サービスや高齢者住宅等を 検討する必要が出てきた場合。

入退院が増えた

緊急連絡や入院時支援の体制を 見直す必要がある場合。

見守りだけでは足りなくなったら?

本人の状態に合わせて支援をつなぎます
元気な時
見守り契約



身体的な負担が増える
必要に応じて財産管理等委任



入院・施設入居
必要に応じて身元保証・緊急連絡体制等を検討



判断能力が不十分になる
任意後見契約を締結している場合は 任意後見監督人選任の申立てを検討



任意後見開始



死亡後
死後事務委任



財産承継
遺言・相続

見守り・身元保証・任意後見の違い

仕組み 主な役割 注意点
見守り 電話・訪問・生活状況等の確認 それだけで財産管理の代理権等が生じるわけではありません。
財産管理等委任 契約で定めた財産管理・事務 本人の判断能力がある段階で利用することが考えられます。
身元保証等 施設・病院等で求められる保証・連絡・一定の支援 内容は施設・病院・契約によって異なります。
任意後見 契約で定めた財産管理・法律行為等の代理 判断能力が不十分となり、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した後に効力が生じます。
死後事務委任 葬儀・納骨・住居や各種契約の終了に伴う事務等 財産を誰に相続させるかを決める遺言とは役割が異なります。

見守り契約に入れておきたい内容

  • 電話連絡の頻度
  • 訪問の頻度
  • 電話に出ない場合の対応
  • 緊急連絡先
  • 緊急時対応の範囲
  • 病院等への対応の範囲
  • 関係者へ連絡できる範囲
  • 合鍵を預ける場合の保管・使用ルール
  • 預かり金がある場合の管理方法
  • 見守り記録の作成・報告方法
  • 通常料金
  • 訪問・交通費等
  • 緊急対応等の追加料金
  • 対応できる曜日・時間
  • 契約期間
  • 解約方法
  • 入院・施設入居時の契約の取扱い
  • 判断能力が低下した場合の対応
  • 死亡時の契約終了と死後事務の有無

「24時間対応」かどうかは必ず確認

見守り契約を結んだからといって、 24時間365日いつでも電話に出て、 直ちに現地へ駆け付けるサービスとは限りません。

夜間・休日を含む緊急対応が必要な場合には、

・対応時間
・電話受付時間
・現地へ行くのか
・どの程度の時間で対応するのか
・追加料金はいくらか


などを契約前に確認する必要があります。

一人暮らしなら元気なうちに決めておきたいこと

  • 緊急時に誰へ連絡するか
  • かかりつけ医
  • 利用している介護サービス等
  • 服用している薬など必要な情報の整理
  • 健康保険関係の情報
  • 親族・知人等の連絡先
  • 入院した場合の連絡方法
  • 自宅の鍵をどうするか
  • ペットがいる場合の対応
  • 判断能力が低下した場合に誰へ頼むか
  • 亡くなった後の葬儀・納骨等をどうするか
  • 自宅や財産を将来どうするか

ペットと暮らしている場合も準備が必要

一人暮らしで犬や猫等と暮らしている方は、 本人が突然入院した場合のペットの対応も 決めておくことが重要です。

例えば、
  • 誰へ連絡するのか
  • 一時的に誰が世話をするのか
  • フード・薬等はどこにあるのか
  • 動物病院はどこか
  • 長期入院になった場合はどうするのか
  • 本人が死亡した場合に誰へ託すのか
などを元気なうちから整理しておきます。

行政書士に相談できること

行政書士には、 本人の希望や現在の生活状況を確認しながら、 老後に必要となる契約・書類について 相談することができます。

業務範囲に応じて、
  • 見守り契約書の作成
  • 定期訪問・緊急連絡等の契約内容の整理
  • 財産管理等委任契約書の作成
  • 任意後見契約の内容整理・公正証書作成の準備支援
  • 死後事務委任契約書の作成
  • 遺言書の作成支援
  • 高齢者住宅入居に伴う書類の整理
  • 相続・終活に関する書類作成
などについて相談することができます。
行政書士が対応できる業務には範囲があります。

具体的な紛争についての代理交渉・訴訟等は弁護士、 不動産登記の申請代理は司法書士、 個別具体的な税務相談・税務申告は税理士の専門分野です。

また、見守り契約や任意後見契約等によって、 本人に代わる包括的な医療同意権が 当然に生じるものではありません。

一人暮らしの見守りを始める流れ

STEP 1 現在の生活状況を確認
住居、健康状態、通院、家族関係、介護サービス等を整理します。
STEP 2 不安なことを整理
孤独死、急病、入院、認知症、施設入居、財産管理など、本人が心配していることを確認します。
STEP 3 見守り方法を決める
電話・訪問の頻度や連絡方法を決めます。
STEP 4 緊急時のルールを決める
連絡が取れない場合や救急搬送時等の対応を整理します。
STEP 5 関係者を整理
親族、医療・介護関係者等、必要な連絡先を確認します。
STEP 6 契約書を作成
業務内容、料金、実費、対応時間、解約等を明確にします。
STEP 7 定期見守りを開始
電話・訪問を継続し、必要に応じて記録を残します。
STEP 8 定期的に見直す
健康・住居・判断能力等の変化に応じて、見守り内容を見直します。
STEP 9 必要なら次の支援へ
財産管理等委任、身元保証、任意後見、高齢者住宅等を検討します。
STEP 10 死亡後まで準備
必要に応じて死後事務委任や遺言についても検討します。

まとめ

① 見守り契約では、定期電話・定期訪問・生活状況の確認などを契約内容に応じて依頼できます。

② 一人暮らしの場合には、「電話に出ない場合にどうするか」をあらかじめ決めておくことが重要です。

③ 緊急時の連絡先や救急搬送時の対応についても事前に整理しておきます。

④ 入院時対応を希望する場合は、どこまで対応するのかを契約書で具体的に決める必要があります。

⑤ 見守り契約だけで、本人に代わる包括的な医療同意権が生じるわけではありません。

⑥ 見守り契約だけで本人の預貯金等を自由に管理できるわけではありません。

⑦ 合鍵や預かり金を扱う場合には、保管・使用・記録・返却のルールを明確にすることが重要です。

⑧ 見守り記録を継続することで、本人の小さな変化に気付きやすくなります。

⑨ 判断能力等が変化した場合には、財産管理等委任や任意後見など、次の支援を検討します。

⑩ 身寄りがない方は、見守りだけでなく、身元保証・任意後見・死後事務委任・遺言まで含めて元気なうちに準備しておくことが大切です。

見守りで大切なのは「異常を探すこと」ではなく「変化に気付くこと」
定期電話・訪問



いつもの生活を知る



以前との小さな違いに気付く



本人の希望を確認する



必要な支援につなげる

一人暮らしを長く続けるためにも、 元気な時期から相談できる人との関係を 作っておくことが大切です。
一人暮らしの見守り・任意後見・身元保証・死後事務について
お気軽にご相談ください
「一人暮らしなので急病の時が心配」
「定期的に訪問してくれる人がほしい」
「電話に出なかった時の対応を決めておきたい」
「入院した時に頼れる人がいない」
「子どもが遠方に住んでいる」
「身寄りがなく将来の認知症も心配」
「亡くなった後までまとめて準備したい」
といった段階からご相談いただけます。
川崎駅前通行政書士事務所
TEL:090-5429-0927
高齢者の見守りについて相談する
サービス付き高齢者向け住宅の管理者として8年間の現場経験を活かし、
高齢者住宅の紹介から、見守り・身元保証・財産管理等委任・任意後見・
死後事務・遺言・相続まで、状況に応じて整理いたします。