産業廃棄物収集運搬業許可とは?
許可が必要なケース・要件・申請の流れを解説
建設現場、工場、製造事業所などからは、 事業活動に伴ってさまざまな廃棄物が発生します。
その中には、 廃棄物処理法上の 「産業廃棄物」 に該当するものがあります。
そして、他人から委託を受けて 産業廃棄物を収集し、 処分場などへ運搬する事業を行う場合には、 原則として 産業廃棄物収集運搬業の許可 が必要です。
一方、自社から発生した産業廃棄物を 自社で運搬する場合など、 収集運搬業許可を必要としないケースもあります。
この記事では、 産業廃棄物収集運搬業許可について、 許可が必要になるケース、 許可取得の主な要件、 必要な許可区域、 申請の流れまで 分かりやすく解説します。
重要なのは、
① 誰が排出した廃棄物なのか
② 誰から委託を受けるのか
③ 何を運ぶのか
④ どこで積み込むのか
⑤ どこで荷下ろしするのか
⑥ 積替え・保管をするのか
という点です。
これらを整理したうえで、 必要な許可を判断します。
そもそも産業廃棄物とは?
廃棄物処理法では、 事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、 法令で定められたものを 産業廃棄物として取り扱います。
建設現場
がれき類、木くず、 廃プラスチック類、 金属くず、 ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くずなどが 発生することがあります。
工場・製造業
汚泥、廃油、廃酸、 廃アルカリ、 廃プラスチック類、 金属くずなどが 発生することがあります。
その他の事業活動
事業内容や廃棄物の種類によって、 産業廃棄物に該当するものがあります。
廃棄物の種類によっては、 特定の業種から排出された場合に限って 産業廃棄物となるものもあります。
産業廃棄物収集運搬業とは?
産業廃棄物収集運搬業とは、 排出事業者等から委託を受けて 産業廃棄物を収集し、 中間処理施設や最終処分場などへ 運搬する事業です。
事業活動によって産業廃棄物が発生
委託を受けて産業廃棄物を収集・運搬
中間処理・最終処分等
どんな場合に許可が必要?
許可が必要となる代表例
- 他社の工場から出た産廃を運ぶ
- 他社から委託を受けて処分場へ運ぶ
- 建設現場から委託を受けて廃材を運ぶ
- 複数の排出事業者から産廃を回収する
原則として許可が不要となる代表例
- 排出事業者が自ら排出した産廃を自ら運搬する
- 収集運搬業に当たらない形態である
- 法令上の例外に該当する場合
ただし、実際の許可の要否は、 事業形態や契約関係、 廃棄物の種類などによって判断する必要があります。
自社で出した産廃を自社で運ぶ場合は?
自社の事業活動によって発生した産業廃棄物を、 その排出事業者自身が運搬する 「自ら運搬」については、 原則として産業廃棄物収集運搬業許可は必要ありません。
また、自ら運搬する場合でも、 廃棄物処理法に基づく 運搬基準等を守る必要があります。
建設業者は特に注意!元請・下請で考え方が変わります
建設業者にとって特に重要なのが、 建設工事に伴って発生する 産業廃棄物の取扱いです。
そのため、 元請業者が自ら運搬する場合と、 下請業者が運搬する場合とでは、 許可の考え方が異なることがあります。
| ケース | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 元請業者が自ら運搬 | 元請業者自身が排出事業者となる建設廃棄物を 自ら運搬する場合には、 原則として収集運搬業許可は不要です。 |
| 下請業者が運搬 | 元請業者が排出事業者となる廃棄物を 下請業者が運搬する場合には、 原則として収集運搬業許可が問題となります。 |
| 他社の産廃を受託して運搬 | 原則として収集運搬業許可が必要です。 |
「これは自社の廃棄物だから許可不要」 とすぐ判断せず、 まず排出事業者が誰になるのかを確認する
ことが重要です。
どこの都道府県の許可を取ればよい?
産業廃棄物収集運搬業では、 産業廃棄物を積み込む場所と 荷下ろしする場所 を確認して、 必要な許可を検討します。
例えば、 神奈川県内で産業廃棄物を積み込み、 東京都内の処分場で荷下ろしする場合には、 基本的には 神奈川県と東京都の双方の許可 が必要になります。
産業廃棄物を積み込む
処分場等で荷下ろし
「積替え保管なし」と「積替え保管あり」の違い
産業廃棄物収集運搬業許可を考える際には、 積替え・保管を行うか も重要です。
積替え保管なし
収集した産業廃棄物を、 途中で保管・積替えすることなく 処分場等へ運搬します。
一般的な収集運搬業では、 この形態で申請するケースが多くあります。
積替え保管あり
収集した産業廃棄物を 途中の施設等で一時保管したり、 別の車両等へ積み替えたりします。
施設や保管方法等について、 より詳細な基準や審査が関係します。
実際の運搬方法を確認してから 許可内容を決めることが大切です。
産業廃棄物収集運搬業許可の主な要件
許可を取得するためには、 主に次のような要件を確認します。
① 講習会
申請区分等に応じた講習会を修了し、 必要な修了証等を準備します。
② 運搬施設
取り扱う産業廃棄物に適した 車両・容器等を確保します。
③ 事業計画
産廃の種類、予定運搬量、 排出元、運搬先、運搬方法などを 具体的に整理します。
④ 経理的基礎
産廃収集運搬業を 継続して適正に行える 財務状況等を確認します。
⑤ 欠格要件
申請者や法人役員等が、 廃棄物処理法上の欠格要件に 該当していないことを確認します。
⑥ 適切な事業運営
廃棄物の飛散・流出等を防止し、 適正な収集運搬を行える体制を整えます。
許可申請では講習会の確認を早めに
産業廃棄物処理業の許可申請では、 申請区分等に対応する 講習会の修了が重要になります。
申請準備を始める際には、 誰が講習会を受講するのか、 必要な修了証があるか、 有効なものとして扱われるかを 早めに確認することが大切です。
運搬車両・容器も審査の対象になります
収集運搬する産業廃棄物の性状に応じて、 適切な車両や容器等を 使用できることが必要です。
- 使用する車両
- 車両番号
- 車検証等
- 車両の使用権原
- 車両の写真
- 必要に応じて使用する容器
- 飛散・流出防止の方法
許可を取れば、どんな産廃でも運べる?
いいえ。
産業廃棄物収集運搬業許可では、 取り扱う産業廃棄物の種類 を申請します。
- がれき類
- 木くず
- 廃プラスチック類
- 金属くず
- ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず
- 紙くず
- 繊維くず
ただし、 木くず・紙くず・繊維くずなどには 業種等による限定があります。
実際にどのような工事・事業から どの廃棄物が発生するのかを確認して、 必要な品目を選択することが重要です。
石綿含有産業廃棄物などにも注意
建築物の改修・解体等に関係する事業では、 石綿を含有する建材が問題となることがあります。
また、 水銀使用製品産業廃棄物など、 通常の産業廃棄物とは別に 取扱い上注意すべきものがあります。
「経理的基礎」とは?
産業廃棄物収集運搬業を 継続して適正に行うためには、 一定の経理的基礎が必要です。
法人の場合には、 決算書や納税関係資料などをもとに 財務状況を確認します。
財務内容によっては、 追加資料や収支改善に関する資料等を 求められる場合があります。
必要となる資料や審査上の取扱いは、 申請先や個別の財務状況によって確認が必要です。
欠格要件にも注意
申請者や法人の役員等が 廃棄物処理法に定める 欠格要件に該当する場合には、 許可を受けられません。
- 法人役員等
- 一定の使用人
- 過去の許可取消し等
- 一定の法令違反等
- その他法令上の欠格要件
役員変更があった会社などでは、 新任役員についても 確認しておくことが重要です。
許可申請で準備する主な書類
申請先や申請者の状況によって異なりますが、 法人の新規申請では一般に 次のような書類を準備します。
- 産業廃棄物収集運搬業許可申請書
- 事業計画に関する書類
- 講習会修了証等
- 法人の登記事項証明書
- 定款
- 役員等に関する書類
- 住民票等
- 車両関係書類
- 車両・容器等の写真
- 決算関係書類
- 法人税関係書類
- その他、申請先が求める資料
必要書類は、 新規・更新・変更、 法人・個人、 積替え保管の有無などによって異なります。
産業廃棄物収集運搬業許可申請の流れ
誰の産廃を、何を、どこからどこへ運ぶのか整理
自社運搬か、他社からの受託運搬かを確認
積込み場所・荷下ろし場所から申請先を整理
実際に取り扱う品目を整理
必要な講習会・修了証等を確認
運搬方法と使用権原等を整理
許可を取ったら終わりではありません
産業廃棄物収集運搬業では、 許可取得後も 廃棄物処理法等に従って 適正に事業を行う必要があります。
- 許可された産廃の種類を守る
- 許可された事業範囲を守る
- 産廃の飛散・流出等を防止する
- 収集運搬車両に必要な表示を行う
- 必要な書類等を携帯する
- マニフェストを適切に取り扱う
- 変更があれば必要な届出等を行う
- 許可の更新期限を管理する
産廃収集運搬業許可の有効期間は?
通常の産業廃棄物収集運搬業許可の有効期間は、 原則5年間です。
引き続き事業を行う場合には、 許可の有効期間が満了する前に 更新許可申請を行う必要があります。
役員・住所・車両などが変わったら?
許可取得後に 会社の内容や事業内容が変わった場合には、 変更届や変更許可申請等が 必要になることがあります。
- 法人の商号が変わった
- 本店所在地等が変わった
- 役員等が変わった
- 使用する車両が変わった
- 取り扱う産業廃棄物の種類を変更したい
- 事業範囲を変更したい
変更内容によって 「届出」で済むものと 「変更許可」が必要になるものがありますので、 事前に確認しましょう。
建設業許可を持っていれば産廃も運べる?
建設業許可と 産業廃棄物収集運搬業許可は、 まったく別の制度です。
| 項目 | 建設業許可 | 産業廃棄物収集運搬業許可 |
|---|---|---|
| 主な法律 | 建設業法 | 廃棄物処理法 |
| 主な対象 | 建設工事の請負 | 他人の産業廃棄物の収集・運搬 |
| 許可を持つ効果 | 許可された建設業を一定の範囲で営む | 許可された範囲で産廃収集運搬業を営む |
| 相互の関係 | 一方の許可を持っていても、 もう一方の許可が自動的に付与されるわけではありません。 | |
事業を拡大する際には、 現在の許可だけで予定している業務を行えるのか 確認しておくことが重要です。
産廃収集運搬業許可でよくある誤解
| よくある考え方 | 確認すべきポイント |
|---|---|
| 建設業許可があるから産廃も運べる | 建設業許可と産廃収集運搬業許可は別制度です。 |
| 自社のトラックなら許可はいらない | 車両の所有者だけではなく、誰の廃棄物を誰が運搬するのかを確認します。 |
| 会社に一晩置くだけなら積替え保管ではない | 一時保管であっても積替え・保管に該当する可能性があります。 |
| 1つの県の許可があれば全国で運べる | 積込み・荷下ろしを行う区域に応じて必要な許可を確認します。 |
| 許可を取ればすべての産廃を運べる | 許可された産業廃棄物の種類・事業範囲に限られます。 |
| 許可は一度取ればずっと使える | 通常の許可には原則5年間の有効期間があります。 |
産廃業許可申請を行政書士へ依頼するメリット
産業廃棄物収集運搬業許可申請では、 単に申請書を作成するだけではなく、 申請前の整理が重要です。
許可の要否を整理
誰の廃棄物を、 どのような形で運ぶのかを確認し、 必要な許可を整理します。
必要な許可区域を整理
積込み場所・荷下ろし場所等を確認して、 必要な申請先を整理します。
許可要件を確認
講習会、車両、 産廃品目、財務状況、 欠格要件等を確認します。
申請書類を作成
事業内容に基づき、 必要書類の収集・申請書作成等を進めます。
申請前チェックリスト
- 誰の産業廃棄物を運搬するのか確認した
- 自社運搬か受託運搬か確認した
- 建設工事の場合、排出事業者が誰か確認した
- 積込み場所を確認した
- 荷下ろし場所を確認した
- 必要な都道府県等の許可を確認した
- 積替え保管の有無を確認した
- 取り扱う産廃の種類を確認した
- 石綿含有産業廃棄物等の取扱いを確認した
- 必要な講習会を確認した
- 使用する車両を確認した
- 運搬容器等を確認した
- 財務状況を確認した
- 役員等の欠格要件を確認した
- 必要書類を確認した
まとめ
① 他人から委託を受けて産業廃棄物を収集・運搬する場合には、原則として産業廃棄物収集運搬業許可が必要です。
② 排出事業者が自ら排出した産業廃棄物を自ら運搬する場合には、原則として収集運搬業許可は不要です。
③ 建設工事では、原則として元請業者が排出事業者となるため、元請・下請の関係を確認することが重要です。
④ 積込み場所と荷下ろし場所を確認し、必要な都道府県等の許可を検討します。
⑤ 積替え・保管を行うかどうかによって、申請内容や必要な基準が変わります。
⑥ 許可申請では、講習会・車両等・事業計画・経理的基礎・欠格要件などを確認します。
⑦ 許可を取得しても、許可された産廃の種類・事業範囲を超えて収集運搬することはできません。
⑧ 通常の許可は原則5年間ですので、事業を継続する場合には更新が必要です。
⑨ 役員・所在地・車両・事業範囲等に変更があった場合には、変更手続きの要否を確認します。
⑩ 建設業許可と産業廃棄物収集運搬業許可は別制度です。
↓
誰が排出事業者なのか
↓
何の産業廃棄物を運ぶのか
↓
どこで積み込むのか
↓
どこで荷下ろしするのか
↓
積替え・保管をするのか
↓
講習会・車両・財務状況等の要件を確認
↓
必要な行政庁へ許可申請
最初に事業内容を正確に整理することが、 スムーズな許可申請につながります。
お気軽にご相談ください
「自社の場合、許可が必要なのか分からない」
「建設会社で産廃業許可も取得したい」
「神奈川県と東京都の許可を取得したい」
「どの産廃品目を申請すればよいか分からない」
「講習会・車両・財務要件を確認したい」
といった段階からご相談いただけます。
事業内容や許可要件を確認しながら必要な手続きを整理いたします。