産廃収集運搬業許可はどの都道府県で必要?
積込み・運搬・荷下ろしと許可区域を解説

産業廃棄物収集運搬業を始める際、 よく分かりにくいのが 「どこの自治体の許可を取得すればよいのか」 という問題です。

例えば、川崎市内の建設現場から産業廃棄物を積み込み、 東京都内の処分場へ運搬する場合、 神奈川県の許可だけでよいのでしょうか。

反対に、東京都内の現場から積み込み、 神奈川県内の処分場へ運ぶ場合はどうでしょうか。

また、神奈川県から埼玉県内を通過して 別の都県へ運ぶ場合には、 通過する埼玉県の許可まで必要なのでしょうか。

産業廃棄物収集運搬業許可では、 「積込み場所」「荷下ろし場所」「積替え・保管の有無」 を確認することが重要です。

最初に結論
産業廃棄物収集運搬業許可が必要な区域を考える場合は、 基本的に、

① どこで産業廃棄物を積み込むのか
② どこで産業廃棄物を荷下ろしするのか


を確認します。

例えば、 神奈川県で積込み  ↓ 東京都で荷下ろし

であれば、 神奈川県 + 東京都

の双方について、 必要な産業廃棄物収集運搬業許可を取得するのが基本です。

一方、 産業廃棄物を積み下ろしせず、 単に車両で通過するだけの都道府県については、 通常、その通過だけを理由として 収集運搬業許可を取得する必要はありません。

産廃収集運搬業許可は「会社所在地」だけで決まらない

まず理解しておきたいのは、 会社の本店や営業所がある都道府県だけを見て、 必要な許可が決まるわけではないということです。

「会社が神奈川県にあるから、 神奈川県の産廃許可だけ取ればよい」 とは限りません。

実際に産業廃棄物を どこで積み込み、 どこで荷下ろしするのかを確認します。

会社の所在地ではなく、 実際の収集運搬業務の内容から 必要な許可区域を確認することが重要です。

基本は「積込み場所」と「荷下ろし場所」

① 積込み場所
排出事業者の事業場・建設現場等で産業廃棄物を積み込む
↓
② 運搬
車両等で産業廃棄物を運ぶ
↓
③ 荷下ろし場所
中間処理施設・最終処分場等で荷下ろし

このうち、 収集運搬業許可の区域を考えるうえで 特に重要なのが ①積込み場所と③荷下ろし場所 です。

例① 神奈川県で積込み、東京都で荷下ろし

川崎市の建設現場 → 東京都の処分場
積込み:神奈川県川崎市
運搬:神奈川県 → 東京都
荷下ろし:東京都内の処分場
神奈川県・川崎市の建設現場
産業廃棄物を積込み
↓
車両で東京都へ運搬
↓
東京都内の処分場
産業廃棄物を荷下ろし
必要となる許可の基本
神奈川県 + 東京都

双方について、 必要な収集運搬業許可を取得するのが基本です。

例② 東京都で積込み、神奈川県で荷下ろし

東京都内の工事現場 → 神奈川県内の処分場
積込み:東京都
運搬:東京都 → 神奈川県
荷下ろし:神奈川県

この場合も考え方は同じです。

必要となる許可の基本
東京都 + 神奈川県

について許可を確認します。

例③ 神奈川県で積込み、神奈川県で荷下ろし

川崎市の現場 → 神奈川県内の処分場
積込み:神奈川県
荷下ろし:神奈川県

積込み場所と荷下ろし場所が ともに神奈川県内であれば、 基本的には 神奈川県の許可 を確認します。

同じ都道府県内で収集運搬が完結する場合には、 原則としてその都道府県の許可を中心に確認します。

例④ 他県を通過するだけの場合は?

では、 積込み場所と荷下ろし場所の間で 別の都道府県を通過する場合はどうでしょうか。

A県で積込み → B県を通過 → C県で荷下ろし
A県:積込みあり
B県:通過するだけ
C県:荷下ろしあり
A県
積込み
↓
B県
車両で通過するだけ
↓
C県
荷下ろし
通過するだけなら?
基本的には、

A県 + C県

の許可を確認します。

B県については、 産業廃棄物を積み下ろしせず 単に通過するだけであれば、 通常、その通過だけを理由として 収集運搬業許可を取得する必要はありません。

途中で高速道路のサービスエリアに停車したら?

運搬途中で、 給油や休憩のために サービスエリア等へ停車することがあります。

単に車両が休憩・給油等のために停車し、 産業廃棄物の積替えや荷下ろし等を行わないのであれば、 通常はその停車だけをもって 新たな収集運搬業許可区域が生じるものではありません。

ただし、そこで産業廃棄物を荷下ろししたり、 別の車両へ積み替えたりする場合は話が変わります。

複数の都道府県の現場から収集する場合は?

建設会社や収集運搬会社では、 神奈川県だけでなく、 東京都・千葉県・埼玉県など 複数地域の現場から産業廃棄物を 収集する場合があります。

複数県から東京都内の処分場へ運搬する例
神奈川県:積込みあり
埼玉県:積込みあり
千葉県:積込みあり
東京都:荷下ろしあり

このような事業計画であれば、 基本的には、

  • 神奈川県
  • 埼玉県
  • 千葉県
  • 東京都

について、 必要な収集運搬業許可を確認することになります。

今の仕事だけでなく、 今後どの地域の現場から仕事を受ける予定なのかまで考えて 許可区域を決めることが重要です。

途中の県でも産廃を追加で積み込む場合は?

単なる通過ではなく、 途中の都道府県でも 別の排出事業者から産業廃棄物を 積み込む場合があります。

神奈川県 → 東京都 → 埼玉県
神奈川県:産廃を積込み
東京都:別の産廃を追加で積込み
埼玉県:処分場で荷下ろし

この場合、 東京都は単なる通過地ではありません。

基本的には3都県を確認
神奈川県
+
東京都
+
埼玉県


について必要な許可を確認することになります。

途中の県で一部を荷下ろしする場合は?

複数の処分場を利用して、 途中の都道府県で一部の産業廃棄物を荷下ろしし、 残りを別の都道府県へ運搬する場合もあります。

この場合も、 途中の都道府県は 単なる通過地ではなくなります。

「通ったかどうか」ではなく、 その区域で産業廃棄物の積込み・荷下ろし等を行うのか という視点で確認します。

積替え・保管をする場合は特に注意

収集した産業廃棄物を 直接処分場へ運ばず、 途中の施設等で一度荷下ろしして保管し、 後から別の車両等で運搬する場合があります。

このような 積替え・保管 を行う場合には、 「積替え保管なし」の収集運搬とは 扱いが異なります。

「会社の駐車場や資材置場に一晩置くだけ」 という場合でも、 実際の運用によっては 積替え・保管に該当する可能性があります。

「積替え保管なし」の許可を取得した後に、 自由に途中保管できるわけではありません。

積替え・保管を予定している場合には、 保管場所、施設、保管方法、 自治体の基準等について 事前に詳しく確認する必要があります。

川崎市内で積み込むなら「川崎市の許可」が必要?

ここも誤解しやすいところです。

産業廃棄物収集運搬業の許可は、 都道府県と政令市等との関係について 制度上の整理があります。

特に、 積替え・保管を伴わない収集運搬 については、 「川崎市内で積み込むから、 必ず川崎市の収集運搬業許可も別に必要」 と単純に考えるものではありません。

神奈川県内で積替え・保管を行わない収集運搬については、 まず神奈川県の許可制度・申請先を確認します。

積替え・保管を伴う場合などは、 事業を行う場所と自治体の権限関係を含めて 個別に確認する必要があります。

会社が川崎市にあっても東京都だけの許可という場合はある?

事業内容によってはあり得ます。

例えば、 会社の本店が川崎市にあっても、 実際の産廃収集運搬業務が 東京都内での積込み・東京都内での荷下ろしだけで 完結するのであれば、 会社所在地だけを理由として 神奈川県の収集運搬業許可が必要になるわけではありません。

「会社がどこにあるか」と 「どこの産廃収集運搬業許可が必要か」は 分けて考えましょう。

車庫がある都道府県の許可も必要?

運搬車両の車庫や駐車場があるという理由だけで、 その都道府県の収集運搬業許可が 当然に必要になるわけではありません。

ただし、 その車庫や事業場で 産業廃棄物を荷下ろししたり、 保管したりするのであれば、 別の問題が生じます。

車両を置く場所なのか、
産業廃棄物を置く場所なのか、


この違いは重要です。

複数県の許可を取るときは「産廃の種類」も確認

必要な都道府県の許可を取得していても、 今回運搬する産業廃棄物が 許可された事業範囲に含まれていなければ 運搬できません。

例えば建設業では、
  • がれき類
  • 廃プラスチック類
  • 金属くず
  • ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず
  • 木くず
  • 紙くず
  • 繊維くず
などが関係することがあります。
「神奈川県では許可されている品目が、 東京都の許可内容にも同じように含まれているか」 など、各許可証の事業範囲を確認することが重要です。

建設業者の場合は「元請・下請」の確認が先

ここまで説明した許可区域の話は、 そもそもその会社に 収集運搬業許可が必要となることを前提としています。

建設工事の場合には、 その前に 誰が排出事業者なのか を確認する必要があります。

ケース 基本的な考え方
元請業者が自ら運搬 建設工事に伴う廃棄物は原則として元請業者が排出事業者となるため、 元請自身による自ら運搬であれば、原則として収集運搬業許可は不要です。 ただし、自ら運搬の基準等は守る必要があります。
下請業者が運搬 原則として元請業者が排出事業者となるため、 下請業者がその産廃の運搬を受託する場合には、 原則として収集運搬業許可が必要です。 一定の特例については個別確認が必要です。
収集運搬専門業者へ委託 委託する産廃の種類と運搬区域について、 委託先が適切な許可を持っているか確認する必要があります。

許可区域を具体例で整理

積込み 途中 荷下ろし 基本的に確認する許可
神奈川県 ― 神奈川県 神奈川県
神奈川県 ― 東京都 神奈川県・東京都
東京都 ― 神奈川県 東京都・神奈川県
神奈川県 埼玉県を通過のみ 栃木県 神奈川県・栃木県
※埼玉県は通過のみなら通常不要
神奈川県 東京都で追加積込み 埼玉県 神奈川県・東京都・埼玉県
神奈川県 東京都で一部荷下ろし 千葉県で残りを荷下ろし 神奈川県・東京都・千葉県

許可申請前に「運搬ルート表」を作ると分かりやすい

これから産業廃棄物収集運搬業許可を取得する場合には、 最初に予定している仕事を 一覧にしてみると分かりやすくなります。

排出場所 産廃の種類 運搬先 積替え保管
川崎市 がれき類 東京都○○区 なし
横浜市 廃プラスチック類 神奈川県○○市 なし
東京都大田区 金属くず 神奈川県○○市 なし

このように整理すると、 どこの許可が必要なのか、 どの産廃品目を申請する必要があるのか が見えやすくなります。

最初から関東一円の許可を取った方がよい?

将来の仕事を考えて、 最初から多くの都県で許可を取得したいと 考えることもあります。

しかし、申請する自治体が増えれば、 申請手数料や申請準備、 許可取得後の更新・変更管理等も増えます。

必要地域を絞る方法

現在の取引先・現場・処分場を中心に、 実際に必要となる地域から許可を取得します。

将来の営業地域も考える方法

近い将来受注する可能性が高い地域まで含めて、 許可取得を検討します。

「取れるだけ全部取る」のではなく、 現在の業務と今後の営業計画から 必要な許可区域を決めることが大切です。

営業地域を広げるときは新たな許可が必要になることも

例えば、 これまで神奈川県内だけで 収集運搬業を行っていた会社が、 新しく東京都内の現場から 産業廃棄物を収集する仕事を受注する場合があります。

この場合には、 現在持っている許可だけで 新しい業務を行えるかを 事前に確認する必要があります。

仕事を受注してから 「この都県の許可がなかった」 と気付くことがないよう、 新しい営業地域へ進出する前に 許可を確認しましょう。

必要な許可を判断する順番

STEP 1 そもそも収集運搬業許可が必要か?
自ら運搬か、他人から委託された運搬かを確認
↓
STEP 2 何を運ぶのか?
産業廃棄物の種類を確認
↓
STEP 3 どこで積み込むのか?
↓
STEP 4 どこで荷下ろしするのか?
↓
STEP 5 途中で積替え・保管するのか?
↓
STEP 6 必要な許可区域を整理
↓
STEP 7 各自治体の申請要件・必要書類を確認
↓
STEP 8 必要な許可を申請

複数都県の産廃許可は行政書士に相談できます

産業廃棄物収集運搬業では、 一つの会社が複数の都道府県等の許可を 必要とすることがあります。

特に首都圏では、 神奈川県・東京都・千葉県・埼玉県などをまたいで 事業を行うケースもあります。

行政書士への相談では、
  • 現在の事業内容の確認
  • 許可が必要かどうかの整理
  • 積込み場所の確認
  • 荷下ろし場所の確認
  • 必要な許可区域の整理
  • 取り扱う産廃品目の整理
  • 積替え・保管の有無の確認
  • 講習会等の確認
  • 車両・容器等の確認
  • 申請書類の作成
  • 複数自治体への申請手続きの整理
などを進めることができます。

産廃収集運搬業・許可区域チェックリスト

  • 誰の産業廃棄物を運ぶのか確認した
  • 自ら運搬か受託運搬か確認した
  • 建設工事の場合、元請・下請を確認した
  • 積込み場所を都道府県ごとに確認した
  • 荷下ろし場所を都道府県ごとに確認した
  • 単なる通過地域と積込み・荷下ろし地域を区別した
  • 途中で追加の積込みをしないか確認した
  • 途中で一部荷下ろしをしないか確認した
  • 積替え・保管を行わないか確認した
  • 会社所在地だけで許可区域を判断していない
  • 車庫所在地だけで許可区域を判断していない
  • 各自治体の許可品目を確認した
  • 今後進出予定の地域も確認した
  • 許可取得前に業務を開始しないよう確認した

まとめ

① 産廃収集運搬業許可の区域は、会社の本店所在地だけで決まるものではありません。

② 基本的には、産業廃棄物を積み込む場所と荷下ろしする場所を確認します。

③ 神奈川県で積み込み、東京都で荷下ろしする場合には、基本的に神奈川県と東京都の双方の許可を確認します。

④ 産業廃棄物を積み下ろしせず、単に通過するだけの都道府県については、通常、その通過だけを理由として収集運搬業許可を取得する必要はありません。

⑤ 途中の都道府県で追加の積込みや荷下ろしをする場合には、その区域についても許可を確認します。

⑥ 積替え・保管を行う場合には、「積替え保管なし」の収集運搬とは別に慎重な確認が必要です。

⑦ 車庫や会社があるという理由だけで、その都道府県の収集運搬業許可が当然に必要になるわけではありません。

⑧ 複数都県で仕事をする場合には、各許可の産廃品目・事業範囲も確認することが重要です。

⑨ 建設業者の場合には、許可区域を考える前に、元請・下請と排出事業者の関係を確認します。

⑩ 現在の仕事だけでなく、今後予定している営業地域も含めて許可取得計画を立てることが大切です。

迷ったら、この順番で確認しましょう
誰の産廃を運ぶ?

↓

収集運搬業許可は必要?

↓

何の産廃を運ぶ?

↓

どこで積み込む?

↓

どこで荷下ろしする?

↓

途中で積替え・保管する?

↓

必要な都道府県等の許可を確認

この順番で整理すると、 必要な許可区域を判断しやすくなります。
産業廃棄物収集運搬業許可について
お気軽にご相談ください
「神奈川県と東京都の両方の許可が必要か確認したい」
「どの都道府県の許可を取ればよいか分からない」
「建設現場から他県の処分場へ運搬したい」
「複数都県の産廃許可を取得したい」
「積替え・保管に該当するか確認したい」
「自社の営業地域に必要な許可を整理したい」
といった段階からご相談いただけます。
川崎駅前通行政書士事務所
TEL:090-5429-0927
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産業廃棄物収集運搬業について、
積込み場所・荷下ろし場所・産廃品目・積替え保管の有無等を確認し、
事業内容に応じて必要な許可申請を整理いたします。