産廃収集運搬業許可の要件とは?
講習会・車両・経理的基礎・欠格要件を解説
産業廃棄物収集運搬業を始めるためには、 原則として必要な自治体から 産業廃棄物収集運搬業許可を受けなければなりません。
しかし、申請書を提出すれば 誰でも許可を取得できるわけではありません。
許可を取得するためには、 申請者が産業廃棄物を適正に収集・運搬できる 知識・技能、施設、事業計画、経理的基礎 などを備え、 さらに 欠格要件に該当しないこと が必要です。
この記事では、 産業廃棄物収集運搬業許可を検討している事業者向けに、 主な許可要件を分かりやすく解説します。
→ 講習会の修了等によって確認されます。
② 適切な運搬施設を備えていること
→ 車両・運搬容器などを確認します。
③ 適切な事業計画を立てていること
→ 何を、どこから、どこへ、どのように運ぶかを整理します。
④ 事業を継続できる経理的基礎があること
→ 決算書等から財務状況を確認します。
⑤ 欠格要件に該当しないこと
→ 申請者や法人役員等について確認します。
産廃収集運搬業許可の要件を一覧で確認
| 主な確認項目 | 内容 | 申請前のポイント |
|---|---|---|
| 知識・技能 | 産業廃棄物の適正処理に必要な知識・技能を備えていること | 講習会の受講者・修了証等を確認 |
| 運搬施設 | 取り扱う産廃に適した車両・容器等を使用できること | 車両、使用権原、写真、容器等を確認 |
| 事業計画 | 適正かつ継続的に収集運搬できる計画であること | 産廃品目、排出元、運搬先、予定量等を整理 |
| 経理的基礎 | 事業を継続して行える経済的な基礎を有すること | 決算書、納税関係資料等を確認 |
| 欠格要件 | 申請者・役員等が法定の欠格要件に該当しないこと | 申請前に対象者を整理して確認 |
1 講習会 ― 誰が受講すればよい?
産業廃棄物収集運搬業の許可申請では、 申請者が産業廃棄物の処理を適正に行うために 必要な知識・技能を有していることが求められます。
その確認方法として重要になるのが、 産業廃棄物処理業に関する 所定の講習会の修了です。
法人・個人の別や申請区分等に応じて、 適切な立場の者が受講・修了しているかを 確認する必要があります。
新規許可と更新許可などでは、 受講すべき講習課程が異なる場合があります。
また、修了証については、 申請時に有効なものとして取り扱われるかを 確認しておくことが重要です。
講習会は申請準備の最初に確認しましょう
産廃許可申請を予定している場合、 会社の登記事項証明書や決算書を集めるより前に、 まず講習会の状況を確認しておくと 手続きを進めやすくなります。
新規事業を予定している場合には、 早めの確認が重要です。
2 車両 ― どんなトラックでもよい?
収集運搬業を行うためには、 取り扱う産業廃棄物の性状や量に応じて、 適切な運搬施設を備える必要があります。
代表的なものが 運搬車両です。
- 使用する車両の種類
- 自動車登録番号等
- 車検証等の車両関係資料
- 車両の使用権原
- 車両の写真
- 運搬する産廃の種類
- 飛散・流出防止方法
- 必要に応じて運搬容器
車両は自社所有でなければならない?
必ずしも 「自社名義で購入した車両しか使用できない」 という意味ではありません。
ただし、 申請者がその車両を 適法かつ継続的に使用できることを 確認できる必要があります。
車両の所有・使用関係については、 申請先の取扱いも確認しながら 準備することが大切です。
産廃の種類に合った車両・容器が必要
車両を所有していれば、 どの産業廃棄物でも運べるわけではありません。
重要なのは、 運搬する産業廃棄物が飛散・流出したり、 悪臭等の問題を生じさせたりしないよう、 その性状に適した方法で運搬できること です。
固形物
廃棄物の種類や性状に応じ、 飛散・落下等を防止できる 車両・シート・容器等を検討します。
液状・泥状のもの
流出等を防止できる 適切な車両や密閉性のある容器等が 必要となる場合があります。
車両と産廃品目を別々に考えるのではなく、 組み合わせて事業計画を作成します。
運搬容器も重要です
廃油、汚泥など、 産業廃棄物の種類や性状によっては、 車両だけでなく 適切な運搬容器を用いることが重要です。
- 飛散しないか
- 流出しないか
- 廃棄物が混ざることで問題が生じないか
- 容器が運搬物に適しているか
- 車両に安全に積載できるか
車庫・駐車場所も確認しておきましょう
申請時には、 使用する車両だけでなく、 車両をどのように管理するのかについても 確認しておくことが大切です。
なお、 車両を駐車することと 産業廃棄物を保管すること は別の問題です。
産業廃棄物を途中で荷下ろしして保管する場合には、 積替え・保管に該当しないかを 別途確認する必要があります。
3 事業計画 ― 「何を・どこから・どこへ」を明確に
許可申請では、 収集運搬業をどのように行うのかを 具体的に整理します。
- 取り扱う産業廃棄物の種類
- 予定している排出元
- 予定している運搬先・処分先
- 予定運搬量
- 使用する車両
- 使用する運搬容器
- 収集運搬方法
- 飛散・流出防止方法
- 積替え・保管の有無
建設業者は産廃品目の選択に注意
建設工事に関係する事業者の場合には、 例えば次のような産業廃棄物が 関係することがあります。
がれき類
工作物の新築・改築・除去等に伴って生じる コンクリート破片などが該当することがあります。
廃プラスチック類
廃プラスチック製品・建材等が 該当することがあります。
金属くず
金属製の建材や部材等の廃棄物が 該当することがあります。
ガラスくず等
ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くずなどが 関係する場合があります。
木くず
建設業に係る工作物の新築・改築・除去等に伴う木くずなどが 産業廃棄物となる場合があります。
紙くず・繊維くず
建設業に係る一定のものなど、 業種等の限定を確認する必要があります。
4 経理的基礎 ― 赤字会社でも許可は取れる?
産業廃棄物収集運搬業を行うには、 その事業を 継続的に適正に行える経理的基礎 が必要です。
法人の場合には、 決算書や納税関係資料などをもとに、 財務状況を確認します。
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 株主資本等変動計算書等
- 法人税関係資料
- 納税関係資料
- その他、財務状況を確認する資料
赤字なら産廃許可は取れない?
会社全体の財務状況や 今後の事業継続可能性などを含めて 確認されます。
例えば、 設備投資などによって 一時的に赤字となっている会社と、 継続的に財務状態が悪化している会社では、 状況が異なります。
申請先や財務内容によっては、 追加資料等を求められる場合があります。
債務超過なら絶対に許可が取れない?
これも 「債務超過=必ず不許可」 と単純に判断するものではありません。
ただし、 債務超過や継続的な損失などがある場合には、 経理的基礎について より慎重な確認が必要になります。
必要資料や審査方法については、 申請する自治体の取扱いを確認することが重要です。
税金の未納がある場合も確認が必要
申請では、 税務・納税関係の資料を 提出することがあります。
そのため、 税金の未納等がある場合には、 その状況も含めて 申請前に確認しておくことが大切です。
という順番がおすすめです。
5 欠格要件 ― 誰について確認する?
産業廃棄物処理業については、 廃棄物処理法に 欠格要件 が定められています。
欠格要件に該当する場合には、 他の要件を満たしていても 許可を受けることができません。
役員等、 法令上確認対象となる関係者についても 欠格要件の確認が必要です。
欠格要件ではどのような事項を確認する?
欠格要件は詳細に定められており、 個別の事情によって判断する必要があります。
- 成年被後見人等に関する法令上の要件
- 破産に関する一定の要件
- 過去の廃棄物処理業等の許可取消し
- 一定の刑罰を受けた場合
- 廃棄物処理法その他一定の法令違反
- 暴力団員等に関する要件
- 法人役員等に欠格事由がある場合
- 一定の使用人等に欠格事由がある場合
新しく役員に就任する人にも注意
許可申請時だけでなく、 許可取得後に役員が変更された場合にも 注意が必要です。
新任役員等について 欠格要件との関係を確認し、 必要な変更届等を行うことになります。
会社登記とは別に、 産廃許可上の変更手続きの要否も確認しましょう。
「人」「車」「会社」の3方向から確認すると分かりやすい
人
講習会を修了しているか、 役員等が欠格要件に該当しないかを確認します。
車・設備
適切な車両・容器等があり、 安全に収集運搬できるかを確認します。
会社・事業
事業計画や経理的基礎があり、 継続して適正に事業を行えるかを確認します。
要件を満たしていても「許可区域」の確認が必要
講習会、車両、経理的基礎、欠格要件を すべてクリアしていても、 それだけで全国どこでも 産業廃棄物を収集運搬できるわけではありません。
収集運搬業許可が必要な場合には、 産業廃棄物を積み込む場所と 荷下ろしする場所 から必要な許可区域を確認します。
基本的には、
神奈川県 + 東京都
の双方について 必要な収集運搬業許可を確認します。
積替え・保管をする場合は要件が大きく変わります
ここまでの説明は、 主に 積替え・保管を行わない収集運搬 を念頭に置いています。
収集した産業廃棄物を 自社事業場等で一度荷下ろしし、 保管してから別の車両等で運搬する場合には、 積替え・保管の許可・基準等について 別途詳しく確認する必要があります。
申請前に要件を確認する順番
何を、誰から、どこへ運ぶのか
自ら運搬か、受託運搬か
産廃許可の要件でよくある質問
| 質問 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 赤字決算だと許可は取れませんか? | 単年度の赤字だけで直ちに不許可になるとは限りません。 財務状況全体を確認する必要があります。 |
| 債務超過なら絶対に無理ですか? | 一律に判断するものではありませんが、 経理的基礎について慎重な確認が必要となり、 追加資料等を求められる場合があります。 |
| トラックは自社所有でなければダメですか? | 必ずしも自社所有に限られるものではありませんが、 申請者が適法かつ継続的に使用できることを 確認できる必要があります。 |
| トラックが1台でも申請できますか? | 単純に台数だけで決まるものではありません。 事業計画や取り扱う産廃、運搬能力等を含めて確認します。 |
| 建設業許可があれば講習会は不要ですか? | 建設業許可と産廃収集運搬業許可は別制度です。 建設業許可を持っていることだけを理由として 産廃許可の講習会要件がなくなるものではありません。 |
| 会社の代表者だけが欠格要件の対象ですか? | いいえ。法人の場合には、 役員その他法令上の対象者について確認が必要です。 |
| 許可を取ればどんな産廃でも運べますか? | いいえ。許可された産業廃棄物の種類・事業範囲に限られます。 |
法人の新規申請で準備する主な資料
必要書類は申請先や申請内容によって異なりますが、 法人の新規申請では一般に 次のような資料を確認します。
- 許可申請書
- 事業計画に関する書類
- 講習会修了証等
- 法人の登記事項証明書
- 定款
- 役員等に関する資料
- 住民票等の必要な公的証明書
- 車両関係資料
- 車両・容器等の写真
- 決算関係資料
- 法人税・納税関係資料
- その他申請先が求める資料
新規・更新、 法人・個人、 積替え保管の有無、 財務状況などによって 必要書類は変わります。
行政書士に相談するなら「申請書を作る前」が効果的
産業廃棄物収集運搬業許可では、 申請書そのものを作成すること以上に、 申請前の要件確認 が重要です。
講習会を確認
申請区分、受講者、 修了証等を確認します。
車両・産廃品目を確認
予定している業務に対して、 車両・容器等が適切か整理します。
決算内容を確認
経理的基礎について、 申請前に財務資料を確認します。
欠格要件を確認
役員等を整理し、 申請上問題となる事項がないか確認します。
産廃収集運搬業許可・要件チェックリスト
- 誰が講習会を受講するか確認した
- 必要な講習課程を確認した
- 修了証等を確認した
- 取り扱う産業廃棄物の種類を決めた
- 使用する車両を決めた
- 車両の使用権原を確認した
- 必要な運搬容器を確認した
- 飛散・流出防止方法を確認した
- 排出元・運搬先を整理した
- 積込み場所・荷下ろし場所を確認した
- 必要な許可区域を確認した
- 積替え・保管の有無を確認した
- 決算書を確認した
- 赤字・債務超過等がある場合の対応を確認した
- 税務・納税関係資料を確認した
- 法人役員等を整理した
- 欠格要件を確認した
- 必要書類を確認した
まとめ
① 産廃収集運搬業許可では、産業廃棄物を適正に取り扱うための知識・技能が必要です。
② 知識・技能については、申請区分等に応じた講習会の修了等が重要になります。
③ 使用する車両・容器等は、取り扱う産業廃棄物の種類・性状に適したものである必要があります。
④ 車両は自社所有だけに限られるとは限りませんが、適法かつ継続的な使用権原を確認できることが重要です。
⑤ 何を、どこから、どこへ、どのように運ぶのかという事業計画を具体的に整理します。
⑥ 事業を継続して適正に行うための経理的基礎が必要です。
⑦ 単年度の赤字や債務超過だけで機械的に結論を出さず、申請先の基準と会社の財務状況を確認します。
⑧ 申請者や法人役員等が、廃棄物処理法上の欠格要件に該当しないことが必要です。
⑨ 積替え・保管を行う場合には、通常の「積替え保管なし」の収集運搬とは別に詳しい確認が必要です。
⑩ 申請書の作成を始める前に、講習会・車両・事業計画・財務状況・欠格要件を確認することが、スムーズな許可申請につながります。
↓
車両・容器は大丈夫?
↓
産廃品目・事業計画は大丈夫?
↓
経理的基礎は大丈夫?
↓
役員等の欠格要件は大丈夫?
↓
必要な許可区域は確認した?
↓
必要書類を収集して許可申請へ
申請書を作る前にこの順番で確認すると、 要件不足による手戻りを防ぎやすくなります。
お気軽にご相談ください
「誰が講習会を受ければよいか分からない」
「現在所有している車両で申請できるか確認したい」
「赤字・債務超過でも申請できるか確認したい」
「役員変更があり、欠格要件が心配」
「建設業許可と産廃業許可をまとめて相談したい」
といった段階からご相談いただけます。
講習会・車両・産廃品目・経理的基礎・欠格要件・許可区域等を確認し、
事業内容に応じて必要な申請手続きを整理いたします。