産廃収集運搬業の「積替え保管あり・なし」の違いとは?
許可申請の注意点を解説
産業廃棄物収集運搬業許可を取得するとき、 非常に重要なポイントの一つが 「積替え・保管を行うかどうか」 です。
産業廃棄物を排出場所から収集し、 そのまま処分場まで運搬するのであれば、 通常は 「積替え保管なし」 の収集運搬となります。
一方、収集した産業廃棄物を途中で一度荷下ろしし、 保管したり、 別の車両へ積み替えたりしてから 処分場へ運搬する場合には、 「積替え・保管」 の問題が生じます。
特に建設会社などでは、 「現場の廃材をいったん会社の資材置場へ持ち帰り、 翌日まとめて処分場へ運ぶ」 という運用を考えることがあります。
しかし、 「少量だから」「一晩だけだから」「自社の土地だから」 という理由だけで、 自由に産業廃棄物を保管できるとは限りません。
排出場所で産業廃棄物を積み込み、
そのまま処分先等へ運搬する
という形が基本です。
一方、 積替え保管あり
では、
途中の場所で産業廃棄物を荷下ろしし、 一定時間保管したり、 別の車両等へ積み替えたりしてから 再び運搬する
という形になります。
積替え保管ありの場合は、 単なる収集運搬だけの場合と比べ、 保管場所・施設・保管方法・周辺環境・自治体の基準など、 より多くの事項を確認する必要があります。
「積替え」と「保管」とは?
まず、 言葉の意味を整理してみましょう。
積替え
収集した産業廃棄物を、 運搬の途中で別の車両・容器等へ 積み替えることなどをいいます。
保管
収集した産業廃棄物を、 処分先等へ運ぶまでの間、 一定の場所に置いて管理することです。
事業者が「これは単なる一時置きです」と呼んでいても、 実態によっては 積替え・保管として扱われる可能性があります。
「積替え保管なし」とは?
積替え保管なしの典型的な流れは 次のようになります。
産業廃棄物を車両へ積込み
途中で産廃を荷下ろししない
産業廃棄物を荷下ろし
つまり、 収集した産業廃棄物を 途中の自社事業場などへ降ろさず、 処分先等へ運搬する形です。
- 現場で産廃を積み込む
- 適切な車両・容器で運搬する
- 途中の事業場等へ荷下ろししない
- 処分場等まで運搬する
- 処分場等で荷下ろしする
「積替え保管あり」とは?
積替え保管を行う場合には、 排出場所から処分場へ 直接運搬するのではなく、 途中の積替え保管場所を経由します。
産業廃棄物を積込み
荷下ろし・保管・積替え等
例えば、 小型車で複数の現場から廃棄物を収集し、 一定の場所へ集めた後、 大型車に積み替えて 処分場へ運搬するような場合が考えられます。
「積替え保管なし」と「あり」を比較
| 項目 | 積替え保管なし | 積替え保管あり |
|---|---|---|
| 基本的な運搬 | 排出場所から処分先等へ運搬 | 途中の積替え保管場所を経由 |
| 途中で荷下ろし | 原則として行わない | 行う |
| 途中で保管 | 行わない | 行う場合がある |
| 別車両への積替え | 原則として行わない | 行う場合がある |
| 施設・場所の確認 | 主として車両・容器・事業計画等を確認 | 積替え保管場所・施設・保管方法等についても詳しい確認が必要 |
| 申請準備 | 比較的整理しやすい | 自治体との事前相談・事前協議等を含め、より慎重な準備が必要になる場合がある |
現場の廃材を自社へ持ち帰り、一晩置いたら?
建設業者から特に相談が多いのが、 このケースです。
↓
② 自社の資材置場へ運ぶ
↓
③ 廃材を車両から降ろす
↓
④ 翌日、再びトラックへ積む
↓
⑤ 処分場へ運ぶ
「自社の土地だから」 「翌日には運ぶから」 「少量だから」 という理由だけで、 積替え保管なしの許可で当然に行えると 考えないようにしましょう。
なぜ会社へ持ち帰りたくなるの?
処分場の営業時間
工事終了時には処分場の受付時間を 過ぎていることがあります。
少量だからまとめたい
複数現場から少量ずつ収集し、 まとめて運搬したい場合があります。
車両を変更したい
小型車で集め、 大型車へ積み替えて 効率的に運搬したい場合があります。
種類ごとに整理したい
産廃を一定の場所で 種類ごとに整理してから 運搬したい場合があります。
事業上は合理的に見える場合でも、 産業廃棄物を途中でどのように取り扱うかについては 廃棄物処理法上の確認が必要です。
車両に積んだまま会社へ戻る場合は?
では、 産業廃棄物を車両から降ろさず、 積載したまま会社等へ戻り、 翌日そのまま処分場へ向かう場合は どうでしょうか。
運搬の途中における駐車なのか、 実質的に産業廃棄物を保管しているのかは、 駐車の目的、時間、場所、 事業の運用方法などによって 個別に確認する必要があります。
特に、 毎日のように産廃を積載した車両を事業場へ戻し、 翌日まで置くことを通常の業務として行う ような場合には、 事前に許可行政庁へ確認しておくことが重要です。
小型トラックから大型トラックへ積み替える場合は?
+
現場Bから収集
+
現場Cから収集
↓
自社事業場等へ集める
↓
大型トラックへ積替え
↓
処分場へ運搬
このような運用は、 まさに 積替え・保管を検討する典型的なケース です。
事業計画の段階から、 積替え保管場所について 許可行政庁へ相談する必要があります。
積替え保管場所で「選別」してもよい?
ここも注意が必要です。
産業廃棄物を一時的に保管することと、 廃棄物に対して 処分に該当する行為を行うこと は別問題です。
行おうとしている作業が 単なる積替え・保管の範囲なのか、 処分業等の別の許可・手続きが関係するのかを 具体的に確認する必要があります。
積替え保管場所では何を確認される?
積替え保管を伴う許可では、 自治体や取り扱う廃棄物等によって 具体的な基準・手続きは異なりますが、 一般に次のような事項の確認が重要になります。
- 積替え保管場所の所在地
- 土地・施設を使用する権原
- 敷地の範囲
- 産廃を保管する場所
- 取り扱う産業廃棄物の種類
- 保管量・保管方法
- 飛散・流出防止措置
- 悪臭・騒音・振動等への対策
- 雨水等への対策
- 囲い・掲示等
- 車両の出入口や動線
- 周辺環境への影響
- 関係する土地利用規制等
- 自治体独自の手続き・基準
産業廃棄物は自由な方法で保管できない
産業廃棄物を保管する場合には、 飛散・流出・地下浸透・悪臭などによって 生活環境上の支障が生じないよう、 法令上の保管基準等を守る必要があります。
飛散・流出対策
廃棄物が敷地外へ飛散したり、 液体等が流出したりしないよう 適切な措置を講じます。
周辺環境への配慮
悪臭、害虫等の発生などにより 生活環境に支障が生じないよう 適切に管理します。
適切な管理
産廃の種類・保管方法等に応じ、 必要な囲い、掲示その他の管理措置を確認します。
保管できる量にも注意
積替え保管の許可を受ければ、 敷地に入るだけ 無制限に産業廃棄物を置けるわけではありません。
産業廃棄物の保管には 法令上の基準があり、 さらに許可内容や自治体の取扱い等に従って 適正に管理する必要があります。
保管場所・保管量・保管高さ・保管方法等について、 具体的な事業計画に基づいて確認します。
土地を借りてから申請すればよい?
積替え保管を予定している場合には、 この順番に特に注意が必要です。
という進め方は、 予定地で必要な手続きや基準を満たせない場合、 大きな負担になる可能性があります。
① 事業内容を整理
↓
② 候補地を確認
↓
③ 許可行政庁・関係部署へ事前確認
↓
④ 必要な法令・条例・手続きを確認
↓
⑤ そのうえで土地・施設計画を具体化
という順序で検討することが大切です。
廃棄物処理法だけ確認すればよいとは限らない
積替え保管場所を設ける場合には、 廃棄物処理法だけでなく、 予定地や施設の内容によって 他の法令・条例等が関係することがあります。
- 土地利用に関する規制
- 都市計画・建築関係の規制
- 自治体の条例・指導要綱等
- 周辺環境に関する規制
- 施設や設備に関する規制
積替え保管ありでは自治体への事前確認が特に重要
積替え保管なしの収集運搬と比べ、 積替え保管ありの場合には、 事業予定地を所管する自治体との 事前相談・事前協議等が重要になります。
自治体によって、 手続き、必要書類、 施設・立地に関する確認事項等が異なる場合があります。
実際に事業を行う場所を所管する行政庁の 最新の取扱いを確認しましょう。
川崎市で積替え保管を予定する場合は?
川崎市内に積替え保管場所を設ける場合には、 単に 「神奈川県の産廃収集運搬業許可を持っているから大丈夫」 と考えるのではなく、 川崎市内で行おうとしている積替え・保管について、 所管行政庁へ事前に確認すること が重要です。
予定地・取り扱う産廃・施設内容を具体化したうえで 確認しましょう。
積替え保管を行うメリットは?
手続きは複雑になりますが、 事業内容によっては 積替え保管を行うメリットもあります。
運搬効率を高めやすい
小型車で複数現場から収集し、 大型車へまとめて積み替えるなど、 効率的な運搬計画を立てられる場合があります。
複数現場に対応しやすい
複数の排出場所から収集する 事業形態に対応しやすくなる場合があります。
処分場の時間に対応
事業計画や許可内容の範囲内で、 収集時間と処分場への搬入時間を 調整しやすくなる場合があります。
車両運用を工夫できる
収集用車両と長距離運搬用車両を 分けるなど、 事業に応じた運用が可能になります。
積替え保管を行う場合の負担・注意点
申請準備が複雑
場所・施設・保管方法など、 積替え保管なしの場合より 多くの事項を確認する必要があります。
候補地の確認が重要
希望する土地で 予定した事業ができるとは限らないため、 契約前の確認が重要です。
施設整備の負担
廃棄物の種類・事業内容等に応じ、 必要な設備・管理体制等を 整える必要があります。
許可後の管理
許可を取得した後も、 保管基準や許可内容等を守って 適正に運用する必要があります。
「積替え保管なし」の許可で途中保管するとどうなる?
積替え保管なしとして許可を受けている事業者が、 実際には途中の事業場等で 産業廃棄物を荷下ろし・保管している場合には、 許可内容との関係で問題となる可能性があります。
「昔からこの方法でやっている」 「他の会社もやっている」 ということは、 適法性の根拠にはなりません。
元請業者の「自ら運搬」でも保管方法には注意
建設工事に伴って生じる廃棄物については、 原則として元請業者が排出事業者となります。
元請業者が、 自ら排出事業者となる産業廃棄物を 自ら運搬する場合には、 原則として産業廃棄物収集運搬業許可は不要です。
しかし、 「収集運搬業許可が不要」 = 「産廃をどこでも自由に保管できる」 ということではありません。
積替え保管でよくある誤解
| よくある考え方 | 注意点 |
|---|---|
| 自社の土地なら産廃を置ける | 土地の所有関係だけで判断できません。 実際の保管行為や許可・基準等を確認する必要があります。 |
| 一晩だけなら保管ではない | 時間だけで一律に判断するものではありません。 実際の運用を確認する必要があります。 |
| 少量なら自由に置ける | 量が少ないという理由だけで 当然に許可・基準の問題がなくなるわけではありません。 |
| 車に積んだままなら必ず大丈夫 | 運搬途中の駐車なのか、 実質的な保管なのかを個別に確認する必要があります。 |
| 積替え保管の許可があれば破砕もできる | 処分に該当する行為については、 別の許可等が必要となる場合があります。 |
| 県の収集運搬許可があればどこでも保管できる | 積替え保管場所については、 所在地や自治体の権限・基準等を別途確認する必要があります。 |
積替え保管ありを検討するときの流れ
何の産廃を、どこから収集するのか
処分場への直接運搬で対応できないかも確認
※自治体・事業内容によって異なります
積替え保管なしで申請する場合も事業計画を確認
積替え保管なしの場合でも、 単に 「保管しません」 と記載すれば終わりではありません。
- どこの排出場所から収集するか
- 何の産業廃棄物を運ぶか
- どの車両を使用するか
- どのような容器を使用するか
- どこの処分場等へ運ぶか
- 処分場の受入時間に対応できるか
- 途中で自社事業場へ持ち帰る運用がないか
- 車両に積載したまま長時間置く運用がないか
「あり」と「なし」のどちらで申請すべき?
これは、 実際の事業計画によって判断します。
積替え保管なしが向くケース
排出場所から処分場等へ 直接運搬できる事業形態で、 途中保管の必要がない場合です。
積替え保管を検討するケース
複数現場から収集してまとめる、 車両を積み替えるなど、 途中拠点が必要な事業形態です。
積替え保管を検討するなら、土地契約前の相談が重要
産業廃棄物収集運搬業許可について、 行政書士は申請書類の作成・申請手続きだけでなく、 許可申請に向けた事業内容や必要書類の整理を サポートすることができます。
特に積替え保管を予定している場合には、 「土地を契約してから行政書士へ相談する」 よりも、 「候補地の段階で相談する」 ことが重要です。
- 取り扱う産業廃棄物の種類
- 排出元
- 処分先
- 収集方法
- 積替え方法
- 予定保管量
- 使用する車両
- 候補地
- 土地・建物の使用権原
- 周辺環境
- 必要な許可区域
積替え保管・申請前チェックリスト
- 途中で産廃を車両から降ろす予定がないか
- 自社の資材置場へ持ち帰る予定がないか
- 産廃を翌日まで置く予定がないか
- 別の車両へ積み替える予定がないか
- 複数現場の産廃を一か所へ集める予定がないか
- 車両に積載したまま長時間駐車する運用がないか
- 積替え保管場所の候補地を確認した
- 候補地を所管する行政庁を確認した
- 自治体への事前相談の要否を確認した
- 土地利用・建築等の関係法令を確認した
- 取り扱う産廃品目を確認した
- 予定保管量を確認した
- 飛散・流出等の防止方法を確認した
- 囲い・掲示等の基準を確認した
- 車両の出入口・動線を確認した
- 近隣への影響を確認した
- 積替え保管と処分行為を混同していない
- 土地を契約する前に許可可能性を確認した
まとめ
① 「積替え保管なし」は、基本的に排出場所から処分先等へ直接運搬する形です。
② 「積替え保管あり」では、途中の場所で産廃を荷下ろし・保管・積替え等してから再び運搬します。
③ 自社の資材置場へ持ち帰り、廃材を降ろして翌日再び運ぶような場合には、積替え・保管の問題が生じます。
④ 「一晩だけ」「少量だけ」「自社の土地だから」という理由だけで自由に保管できるとは限りません。
⑤ 車両に積載したまま駐車する場合も、運搬途中の駐車か実質的な保管かを実際の運用から確認する必要があります。
⑥ 積替え保管場所では、保管量・保管方法・飛散流出防止・囲い・掲示・周辺環境等について確認が必要です。
⑦ 積替え保管の許可があっても、破砕・圧縮等の処分行為を自由に行えるわけではありません。
⑧ 積替え保管を予定する場合は、候補地の契約前に所管行政庁へ相談し、関係法令・条例等を確認することが重要です。
⑨ 積替え保管なしで申請する場合も、実際の業務が処分場への直接運搬で継続できるか確認しておきましょう。
⑩ 許可申請は、書類の作成より前に実際の運搬方法を正確に整理することが重要です。
↓
そのまま処分場へ行く?
YES
→ 積替え保管なしを基本に検討
NO
↓
途中で荷下ろしする?
↓
一時的に保管する?
↓
別の車両へ積み替える?
↓
いずれかを行う場合は、 積替え・保管について具体的な確認が必要
申請書上の名称ではなく、 実際に産業廃棄物をどのように動かすのか から判断することが重要です。
お気軽にご相談ください
「現場の廃材を自社へ持ち帰りたい」
「自社の資材置場で一時保管できるか確認したい」
「小型車から大型車へ積み替えたい」
「積替え保管場所の候補地を検討している」
「建設業許可と産廃業許可をまとめて相談したい」
といった段階からご相談いただけます。
積替え保管の有無・産廃品目・車両・許可区域・候補地等を確認し、
事業内容に応じて必要な許可申請を整理いたします。