株式会社を合同会社へ、合同会社を株式会社へ―組織変更の流れと注意点

会社を設立した当初は株式会社が最適だったものの、 事業の規模や株主構成、経営方針が変わり、 「合同会社へ変更した方がよいのではないか」と考える場合があります。

反対に、合同会社として始めたものの、 取引先からの信用、資金調達、将来の株式発行などを考え、 「株式会社へ変更したい」と考えるケースもあります。

株式会社と合同会社の変更は、単なる名称変更ではありません。

会社法上の「組織変更」として、 株主・社員の同意、組織変更計画の作成、 債権者保護手続、登記などを順番に進める必要があります。

まず、株式会社と合同会社の違いを確認しましょう

項目 株式会社 合同会社
出資者 株主 社員
経営 原則として取締役等が行う 原則として社員が業務執行
意思決定 株主総会・取締役会等 定款・社員の合意を重視
利益配分 原則として持株割合を基礎 定款で柔軟に定めやすい
役員任期 取締役等に任期あり 原則として株式会社のような役員任期なし
社会的認知 比較的高い 株式会社より低い場合がある

株式会社から合同会社へ変更する場合

株式会社を合同会社に変更する場合には、 株式会社をいったん解散して新しく合同会社を作るというより、 法人格を維持したまま会社形態を変更する「組織変更」 として行います。

株式会社から合同会社へ変更する主な理由
  • 会社運営をより簡素化したい
  • 取締役会や役員任期などの管理負担を減らしたい
  • 少人数・同族会社として柔軟に運営したい
  • 利益配分や意思決定を柔軟にしたい
  • 将来も外部株主を入れる予定がない

株式会社 → 合同会社の基本的な流れ

① 現在の会社内容を確認
定款、登記事項証明書、株主構成、役員構成、 許認可、契約、借入等を確認します。
② 組織変更計画を作成
合同会社への変更後の商号、社員、 出資内容、定款内容などを整理します。
③ 株主総会で承認
会社法上必要となる株主総会決議を行います。
④ 債権者保護手続
官報公告や、必要に応じて知れている債権者への個別催告を行い、 一定期間、異議申述の機会を設けます。
⑤ 組織変更の効力発生
組織変更計画で定めた効力発生日に、 株式会社から合同会社へ変更します。
⑥ 登記申請
法務局へ必要な登記を申請します。 登記申請代理は司法書士の業務です。
⑦ 許認可・契約・届出の変更
建設業許可、銀行、税務、社会保険、 取引先契約などについて必要な変更手続きを確認します。

合同会社から株式会社へ変更する場合

合同会社を株式会社へ変更する場合も、 法人格を維持したまま組織変更を行うことができます。

合同会社から株式会社へ変更する主な理由
  • 対外的な信用を高めたい
  • 将来、株式による資金調達を検討したい
  • 取引先や金融機関から株式会社を求められている
  • 経営と出資を分離したい
  • 事業承継・M&Aを見据えた機関設計をしたい

合同会社 → 株式会社の基本的な流れ

① 現在の定款・社員構成を確認
社員、業務執行社員、代表社員、 出資内容、許認可等を確認します。
② 株式会社としての機関設計を検討
株主、取締役、代表取締役、 取締役会設置の有無、監査役の有無、 株式数などを検討します。
③ 組織変更計画を作成
株式会社へ変更した後の商号、 発行可能株式総数、役員、定款内容などを定めます。
④ 社員の同意・承認
会社法および現在の定款に基づき、 必要な同意・決議を行います。
⑤ 債権者保護手続
官報公告等を行い、 債権者に異議を述べる機会を設けます。
⑥ 組織変更の効力発生
所定の効力発生日に株式会社へ変更します。
⑦ 登記申請
株式会社としての必要な登記を法務局へ申請します。
⑧ 許認可・税務・社会保険等の変更
法人番号自体が変わらない場合でも、 商号・代表者・会社形態の変更に伴い 各機関への届出が必要になることがあります。

「債権者保護手続」があるため、すぐには変更できません

組織変更で見落としやすいのが、 債権者保護手続です。

会社の形態が変わることで、 会社の債権者に影響が出る可能性があるため、 法律上、一定の公告・催告期間を設ける必要があります。

「来週から株式会社を合同会社にしたい」 「今月中に合同会社を株式会社にしたい」 と考えても、すぐに変更できるとは限りません。

株主・社員の決議だけでなく、 債権者保護手続の期間まで逆算して スケジュールを組むことが重要です。

建設業許可などの許認可がある会社は特に注意

建設業許可、宅地建物取引業、古物商など、 行政上の許認可を持っている会社が組織変更する場合には、 会社法上の組織変更だけで終わりではありません。

  • 商号変更の届出
  • 代表者変更の届出
  • 役員変更の届出
  • 定款変更・組織変更に関する資料の提出
  • 許可要件を引き続き満たしているかの確認

特に建設業許可では、 常勤役員等、営業所技術者等、 役員構成などに変更が生じる場合があります。

そのため、 組織変更前に許認可上の影響を確認しておく ことが重要です。

税務上の取扱いも事前に確認しましょう

株式会社と合同会社はいずれも法人であり、 一般的な法人税の基本的な扱いは共通する部分が多いですが、 組織変更に伴って、 資本金、出資、利益剰余金、社員・株主構成などが変わる場合には注意が必要です。

組織変更を行う前には、 税理士へ税務上の影響を確認すること をおすすめします。

銀行・賃貸借・取引先契約も確認が必要です

組織変更によって法人格そのものは継続する場合でも、 商号や代表者、役員、会社形態が変更されます。

そのため、

  • 銀行口座
  • 融資契約
  • 事務所・店舗の賃貸借契約
  • 取引基本契約
  • リース契約
  • 保険契約
  • 各種許認可

などについて、 変更届や契約内容の確認が必要になることがあります。

株式会社と合同会社、どちらがよいのでしょうか

一概にどちらが優れているとはいえません。 会社の規模や将来計画によって向き・不向きがあります。

こんな会社 検討しやすい形態
少人数・同族経営で、 意思決定を簡素化したい 合同会社
役員任期や株主総会等の管理負担を抑えたい 合同会社
外部投資家からの出資を検討している 株式会社
対外的な認知・信用を重視したい 株式会社
将来的な株式譲渡・M&Aを見据える 株式会社を検討

行政書士がお手伝いできること

株式会社から合同会社、 合同会社から株式会社への組織変更では、 会社法上の書類作成だけでなく、 許認可・契約・行政手続まで含めて整理する必要があります。

  • 現行定款・会社情報の確認
  • 組織変更に伴う定款案・議事録等の文案作成
  • 株式会社・合同会社の機関設計の整理
  • 許認可への影響確認
  • 建設業許可等の変更届の作成・提出支援
  • 行政機関との事前相談
  • 必要に応じた司法書士・税理士との連携
登記申請代理は司法書士の業務です。

当事務所では、 組織変更に伴う書類・許認可関係を整理し、 登記については司法書士と連携して 手続きを進めることができます。

まとめ―会社形態だけでなく「変更後の経営」を考えることが重要です

株式会社を合同会社へ変更する場合も、 合同会社を株式会社へ変更する場合も、 単に会社名の後ろの「株式会社」「合同会社」が変わるだけではありません。

組織変更をする目的は何か。
変更後の出資者・役員は誰か。
許認可に影響はないか。
将来、会社をどのように発展させたいのか。

こうした点を整理したうえで、 組織変更計画・債権者保護・登記・許認可変更まで 一連の手続きを進めることが重要です。

株式会社・合同会社の組織変更についてご相談ください。

株式会社から合同会社へ変更したい、
合同会社を株式会社へ変更したい、
許認可を維持したまま会社形態を変更したい、 といったご相談に対応いたします。

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